1000本超の矢に剣や刀……三国志の世界にタイムトリップ!

 ここからは、特別展「三国志」の主な展示物をご紹介します。

展覧会で最初に出迎えてくれたのは、明時代に作られた関羽像。『三国志演義』が伝える関羽の描写が正しいとすれば、ほぼ等身大。精悍(せいかん)な顔立ちで、体全体から力がみなぎるいかにも強そうな男性像だ。16世紀以降、関羽は武神として神格化されていくが、その武神としての表現はこの像にはまだないという。(「関羽像」青銅製/明時代・15~16世紀/新郷市博物館蔵)
展覧会で最初に出迎えてくれたのは、明時代に作られた関羽像。『三国志演義』が伝える関羽の描写が正しいとすれば、ほぼ等身大。精悍(せいかん)な顔立ちで、体全体から力がみなぎるいかにも強そうな男性像だ。16世紀以降、関羽は武神として神格化されていくが、その武神としての表現はこの像にはまだないという。(「関羽像」青銅製/明時代・15~16世紀/新郷市博物館蔵)
5階建ての瓦ぶき建築。1~2階が穀物倉庫、3階以上は望楼で、望楼から外を見る人物が置かれている。河南省の後漢時代の墓に副葬されていたもの。このエリアは高層の穀倉が立つほど豊かな土地だったという。(「五層穀倉楼(ごそうこくそうろう)」土製・彩色/後漢時代・2世紀/1973年、河南省焦作市山陽区馬作出土/焦作市博物館蔵)
5階建ての瓦ぶき建築。1~2階が穀物倉庫、3階以上は望楼で、望楼から外を見る人物が置かれている。河南省の後漢時代の墓に副葬されていたもの。このエリアは高層の穀倉が立つほど豊かな土地だったという。(「五層穀倉楼(ごそうこくそうろう)」土製・彩色/後漢時代・2世紀/1973年、河南省焦作市山陽区馬作出土/焦作市博物館蔵)
1000本を超える矢が天井に装飾された展示室では、三国志時代の武器が豊富に展示されている。当時の主要な武器は剣、刀、槍(矛)、弓矢だった。所有者や使用者が記された武器もあり、当時の人々が一気に身近に感じられるはず
1000本を超える矢が天井に装飾された展示室では、三国志時代の武器が豊富に展示されている。当時の主要な武器は剣、刀、槍(矛)、弓矢だった。所有者や使用者が記された武器もあり、当時の人々が一気に身近に感じられるはず
蜀の大型墓の門。墓の門にはさまざまな意匠の彫刻が施されたが、この門は、向かって右側の男性は箒(ほうき)を持ち、左側の男性は盾をささげている。頭には武官用の冠をかぶり、警備を務めた人物だったと考えられる。(「墓門(ぼもん)」石製/後漢時代・2世紀/1977年、四川省成都市郫都区県蘭家院子出土/四川博物院蔵)
蜀の大型墓の門。墓の門にはさまざまな意匠の彫刻が施されたが、この門は、向かって右側の男性は箒(ほうき)を持ち、左側の男性は盾をささげている。頭には武官用の冠をかぶり、警備を務めた人物だったと考えられる。(「墓門(ぼもん)」石製/後漢時代・2世紀/1977年、四川省成都市郫都区県蘭家院子出土/四川博物院蔵)

今週末に駆け込みたい美術展

日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」


2~3世紀にかけて魏・蜀・呉の3カ国が覇権を争った「三国志」の時代。曹操や劉備など、多くの英雄が活躍したこの時代の文物を、最新の研究成果から読み解く展覧会。目玉は、三国志研究史上最大の発見とされ、海外初出品となる曹操高陵(墓)の出土品。墓室も原寸大で再現されている。当時の剣、刀、槍などの武器も多く展示され、リアルな三国志を見ることができる。

場所/東京国立博物館 平成館 東京都台東区上野公園13-9
開催/開催中~2019年9月16日
料金/一般1600円ほか
問い合わせ/03・5777・8600(ハローダイヤル)

取材・文/吉田燿子、市川礼子(日経ARIA編集部)、写真/吉澤咲子