寡作の画家フェルメールの「最後の1枚」
寡作の画家で知られるフェルメールの作品も見逃せません。「オランダの市民社会の日常生活の一瞬を描写してきたフェルメールが、最晩年に制作した1枚。18世紀フランスで花開いたロココを予感させる作品です。その背景には、オランダの経済が産業資本から金融資本へと基軸が移りつつあり、上流市民たちの貴族への憧れが強まってきたこともあるでしょう。今回、展覧会で鑑賞するのを楽しみにしている一点です」(千速さん)
今は容易に海外へ行くことはできませんし、コロナ禍で海外からの作品輸送が難しくなり、開催を断念した展覧会も複数あります。さらには、今後、海外の作品を移送する大型展開催は厳しいのでは……という声も聞かれます。普段はロンドンにある至宝を日本で見られる幸せをかみしめながら、61点と対峙しましょう。
場所:国立西洋美術館 東京都台東区上野公園7-7
料金:一般 1700円
大阪会場:2020年11月3日~2021年1月31日
※6月18日~21日は前売り券か招待券を持っている来場者と無料観覧対象の来場者のみが入場できる。6月23日からは日時指定制による入場方法を導入。国立西洋美術館では入場券の販売をしない。詳細は展覧会公式サイトで案内
今こそどっぷり浸りたいバンクシーの世界
2019年、東京都港区に置かれていた防潮扉に描かれた「ねずみ」が「バンクシー作品の可能性が高い」と、都知事を巻き込んだ話題となり、2020年5月には医療従事者をたたえる新作を公開して注目を集めるなど、今、最もニュースな現代アーティスト・バンクシーの展覧会「バンクシー展 天才か反逆者か」が開催中(日時予約制、9月27日まで)。2018年からモスクワなど世界5都市で開催され、既に100万人以上を動員した展覧会が、日本に上陸しています。
英国を拠点に活動するバンクシーは、素顔を知られていない匿名のアーティスト。壁面や路上、橋などをキャンバスに、社会への風刺や政治的メッセージを込めた作品をゲリラ的に描いて公開しています。