新型コロナウイルス感染症の拡散防止のために閉館が続いていた各地の美術館が続々再開。開幕延期となっていた「出展作すべて日本初公開」という前代未聞の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(国立西洋美術館)を筆頭に、注目の展覧会をご紹介。最終ページでは、展覧会の延期・中止情報もまとめました。なお、検温やマスク着用義務など、入館に関してはそれぞれ決まりがあります。事前の確認をお忘れなく。

すべて日本初公開! 待望の大型展が始動

 2020年、最も目玉の展覧会「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(日時指定制※、6月18日~10月18日)がいよいよ始まります。本来は、3月3日~6月14日に開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で開幕が延期。展覧会自体もなくなってしまうのでは……とドキドキしましたが、無事に開幕しました!

 実はこの展覧会、空前絶後と言えるでしょう。まず、ロンドン・ナショナル・ギャラリーは誕生しておよそ200年たちますが、英国国外で所蔵作品展が開かれるのは今回が初。しかも出品作の61点すべてが日本初公開なのです。ルネサンスの15世紀後半からポスト印象派の19世紀末までの作品が出展。ボッティチェッリ、レンブラント、フェルメール、ベラスケス、エル・グレコ、アングル、セザンヌ、ファン・ゴッホなど美術史のオールスターの作品が勢ぞろいしています。

至宝、ゴッホの『ひまわり』もやってくる!

フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』
フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』
1888年/油彩・キャンバス (C)The National Gallery, London. Bought, Courtauld Fund, 1924
ファン・ゴッホは、アルル時代にほぼ同じ構図のひまわりを7点完成させている。荒々しい筆致は、ぜひ展覧会場でご確認を

 右も左も名品ぞろいの出展作の中でも、特に注目したいのがロンドン・ナショナル・ギャラリーきっての至宝、ファン・ゴッホの『ひまわり』です。この『ひまわり』は、ファン・ゴッホがゴーガンとアルルで共同生活を送ることになったとき、歓迎の意を込めてゴーガンの寝室に飾ろうと描いたものでした。

 「日本の浮世絵から多大な影響を受け、日本びいきだったファン・ゴッホが日本に少しでも近いから、とパリから南仏アルルへと向かったのは死の2年前のこと。芸術家のユートピアをつくろうというファン・ゴッホの呼びかけに応えたのは、ゴーガンだけでした。日本を太陽の国と憧れていたファン・ゴッホにとって、ひまわりは日本を思い起こさせる花だったのです」(成安造形大学教授・千速敏男さん)

 二人の共同生活はたった2カ月で破綻を迎えますが、ゴーガンは「この絵がほしい」とファン・ゴッホに懇願したとか。ちなみに、「日本のひまわり」としておなじみのSOMPO美術館(東京都新宿区)にあるファン・ゴッホの『ひまわり』は、この作品を基に描かれたとされています。ぜひ見比べてみてください。