天使の聖歌隊が合唱する「第九」のシーンに感動

稲垣 すごいです、圧倒されてしまって。心をわしづかみにされてしまいました。やっぱり、『歓喜の歌』にたたえられて人々に幸福がもたらされている最後のシーン(下絵参照)が感動的。自分が演じたベートーヴェンの風景を思い出してしまいます。ベートーヴェンは今後も演じたい役。(これを見たことで)今後は違う気持ちで演じられる気がします。見られてよかった、感動しました。

30秒で分かる『ベートーヴェン・フリーズ』
クリムトが、約100年前に同じくウィーンで活躍したベートーヴェンの『交響曲第9番』に着想を得て描いた。金色の甲冑(かっちゅう)をまとう騎士が、幸福を求めて「敵対する力」に向かい、楽園にたどり着くまでの旅を描いた34メートル超の絵物語。悪意に満ちた巨大な怪物や死、狂喜、欲望などを乗り越え、天使たちの歓喜の合唱のなか、接吻を交わす男女の姿で表される楽園に到達する
騎士に立ちはだかる苦しみや悪を描いたシーン。中央が騎士に敵対する悪の化身テュフォン、向かって左の黒髪がその娘・ゴルゴン3姉妹。3姉妹の背後に病、狂気、激しい苦悩、死の擬人像が描かれています。右には、挑発的で誘うような目つきの「淫蕩(いんとう)」、太った「不摂生」、「肉欲」の擬人像がいます
ベートーヴェン『交響曲第9番』を楽園の天使たちが合唱、全裸で抱き合う男女は接吻を交わすーー。物語のクライマックスは、シラーの詩『歓喜の歌』の最後のフレーズ「歓喜よ! 神々の美しき火花よ! この接吻を全世界に!」の一節を表現しています。愛の象徴であるバラが咲き乱れ、頭上には太陽と月が輝く、まさに楽園です
(2点とも)グスタフ・クリムト『ベートーヴェン・フリーズ』(部分)
1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-02年)/ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 (C)Belvedere, Vienna