この連載では、ARIA世代が今、「ドヤ顔して語りたい画家」について小気味よくご紹介。今回は、19世紀末にウィーンで活躍したクリムトの知られざる側面に迫ります。ウィーンの保守的なアート・シーンから分離して「分離派」を結成し、傑作を連発。生涯独身を貫いたものの、アトリエに出入りする多くのモデルと関係を持ち、少なくとも14人の子どもがいた――現在なら批判を受けそうなクリムトですが、その作品は愛され続けています。コラムの最後には、今週のオススメ美術展情報も載せているのでチェック!

 19世紀末のウィーンで活躍し、現在に至るまでウィーンでダントツの人気画家と言えば、グスタフ・クリムト(1862~1918年)です。

 ウィーンの美術館には多数のクリムト作品が展示してあるのはもちろんのこと、劇場などの公共施設には彼が手掛けた天井画や壁画が飾られ、果ては彼の作品をイメージしたスイーツまで食べられるなど、右も左もクリムトで溢れています。

ウィーンのスター画家の作品が大挙して東京に!

 そして2019年春以降は、東京にクリムト作品が大集結。なんと、国立新美術館(六本木、「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」、8月5日まで)、東京都美術館(上野、「クリムト展 ウィーンと日本1900」、7月10日まで)で、クリムトに関する展覧会が開催され、2つの展覧会を巡ると約70点以上のクリムト作品を堪能できるビッグチャンスが到来しています

 「クリムトの特徴と言えば『装飾的』『抽象的』『金を多用』『ジャポニスム(ヨーロッパ全土で19世紀に流行した日本趣味)の影響』『官能的』などが挙げられます。まずは、日本初公開のこの作品を堪能してください」(成安造形大学教授・千速敏男さん)

グスタフ・クリムト『女の三世代』
1905年/油彩・キャンバス/ローマ国立近代美術館蔵  (C)Roma, Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea. Su concessione del Ministero per i Beni e le Attivita Culturali/「クリムト展 ウィーンと日本 1900」に出展
女性の人生の3つのステージ(幼年期=子、青年期=母、老年期=老女)を描いた寓意画。クリムトならではの装飾性と画面構成に注目。「左右を切り落とし、縦長の画面でこの絵を仕上げることもできたはずですが、あえて3人の左右にスペースを取り、人生の広漠さを暗示しています。顔を見せない老女、背景の黒や灰色が死や滅びを暗示しているかのようです」(千速さん)