この連載では、ARIA世代が今、「ドヤ顔して語りたい画家」について小気味よくご紹介。今回は、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエの画家としての知られざる側面に迫ります。彼が提唱した芸術運動とは? コラムの最後には、今週のオススメ美術展情報も載せているのでチェック! ル・コルビュジエによる名建築・国立西洋美術館の中で、彼の絵画を堪能できるという、稀有な美術展です。

 「キュビスム」といえば、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックが中心となって展開した、20世紀初頭における最も重要な芸術運動。物の形をいろいろな角度から見て解体、単純化、そして再構成する新たな表現方法は、ルネサンス以降の伝統的な絵画の意味や機能を覆した――ここまではご存じの方も多いはず。

 では、「ピュリスム(純粋主義)」はご存じでしょうか?。

 「構築と総合」の芸術を唱える「ピュリスム」の運動を開始したのが、ル・コルビュジエ。「え、ル・コルビュジエって建築家じゃなかったっけ? 絵も描いてたの?」と思った人も多いはず。事実、ル・コルビュジエは20世紀を代表する建築家で、2016年にユネスコ世界文化遺産にも登録された国立西洋美術館の本館を設計したことでも知られています。

 「実は『ル・コルビュジエ』という名はペンネーム。画家として活動するときには、シャルル=エドゥアール・ジャンヌレという本名を使っていました」(ル・コルビュジエ財団事務局長ブリジット・ブーヴィエさん)。

「国立西洋美術館を設計するに当たり、ル・コルビュジエは日本に8日間滞在しました。お気に入りは日本酒。『赤い米からできたワイン(=日本酒)を飲むための盃が小さ過ぎる。30杯は飲まないといけない』と家族への手紙に書いています」(ブリジットさん)
「国立西洋美術館を設計するに当たり、ル・コルビュジエは日本に8日間滞在しました。お気に入りは日本酒。『赤い米からできたワイン(=日本酒)を飲むための盃が小さ過ぎる。30杯は飲まないといけない』と家族への手紙に書いています」(ブリジットさん)