この連載では、ARIA世代が今、“ドヤ顔して語りたい画家”について小気味よくご紹介。今回は、この冬絶対に見逃せない展覧会「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」で展示されている8人の“奇想の画家”の一人。伊藤若冲や歌川国芳とは一味違った魅力を放つ「狩野派の変わり種」で、狩野派切っての知性派といわれるアノ画家です。コラムの最後には、今週のオススメ美術展情報も載せているのでチェック!

 江戸時代に自由で斬新な個性を発揮した“奇想の画家”たち。「5時間待ちの展覧会」として3年前に美術展の歴史に名を刻んだ伊藤若冲を差し置いて、今回まずドヤ顔で語りたいのは、狩野派のダークホース・狩野山雪(かのうさんせつ)です。

「狩野山雪、Who?」

 教科書に出てきた狩野永徳ならなんとなく知ってる、うん、大丈夫。でも、「狩野山雪」と聞くと頭に「?」マークが浮かぶ人が多いのではないでしょうか。

 「山雪は、ニューヨークのメトロポリタン美術館の日本ギャラリーでメインを飾るほど、大切にされている画家です。日本人にはあまり知られていない画家かも知れませんが、海外でとても高く評価されています」(東京都美術館学芸員・中原淳行さん)

 山雪の絵には、海外で尊敬される「日本美術の奥深さ」があるということ? 海外でも働くシーンが多いARIA世代こそ、ゴッホやフェルメールやムンクをドヤ顔で語る前に、自分たちの国の絵師を知っておかなければ恥ずかしい! まずは知性派・狩野山雪の濃厚過ぎる一枚を堪能しましょう。