伊藤若冲『紫陽花双鶏図』(あじさいそうけいず)
伊藤若冲『紫陽花双鶏図』(あじさいそうけいず)
絹本着色/一幅/米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション

 近年、日本では若冲ブームが続いていますが、昨年はパリでも若冲展を開催。伊藤若冲の人気は世界的に高まっています。

 「若冲は敬虔な仏教徒でした。宗教的熱情に支えられた彼は、家督を潔く弟に譲り、絵に没頭する人生を送った。若冲にとって、描くことは“祈ること”でした。仏に自分の絵を捧げる生涯を選択したのです。つまり、絵は自分の信仰の証しですから、手が抜けない。手を抜くことは自分を、あるいは仏を裏切ることになる。“今の最高”を常に出し切る必要があったのでしょう」(中原さん)

今回のドヤ顔ワード2
若冲にとってのCawaiiは鳥。庭で大好きな鶏をたくさん飼っていたんだって。 それにしてもすさまじい描写力! 若冲にとって「描くことは祈ること」だったらしいよ。

今週末に駆け込みたい美術展
奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド

 2019年冬の美術展の大本命。ここで紹介した狩野山雪、伊藤若冲のほか、岩佐又兵衛、白隠慧鶴、曽我蕭白、長沢芦雪、鈴木其一、歌川国芳、計8人の“奇想の画家”の絵を展示。江戸時代に、自由で斬新な個性を発揮した画家たちの系譜をたどることができます。

場所/東京都美術館  東京都台東区上野公園8-36
開催/開催中~4月7日
料金/一般1600円
問い合わせ/03・5777・8600(ハローダイヤル)

歌川国芳『宮本武蔵の鯨退治』       
歌川国芳『宮本武蔵の鯨退治』       
大判三枚続/弘化4(1847)年頃/個人蔵
幕末の反逆児・歌川国芳も海外で人気が高い画家。「“タトゥーといえば国芳”と言われるほど、国芳が描いた骸骨や鬼、菩薩などは、タトゥーの柄として海外で大人気です」(中原さん)

取材・文/市川礼子