離婚後に出会った男性と「散骨トーク」で盛り上がる

 母が病魔に襲われた頃、村田さんは企業に勤め、花を扱う仕事をしていた。当時は夫と長男の3人暮らしだったが、ほどなくして離婚。

 母を見送って数年後、現在の夫と知り合った。その初めてのデートのときのこと。

 「東京・門前仲町のレストランでパスタを食べながら、ふと散骨の話になったんです。船会社に勤務して船長をしているという彼が『仕事で海洋散骨をすることがある』と言ったので、沖縄の海で母を見送ったことを話すと、時間を忘れてしまうほど散骨の話で盛り上がりました。『これからはきっと、こういう見送り方が社会に求められるよね』と話したのを覚えています」

 夫は、いずれ自分の船を所有して独立、起業したいと望んでいた。何回目かのデートでは船のパンフレットを持ってきた。二人で見比べながら夢を語り、船を買うことを前提に会社をつくるという流れになった。

 村田さんの前夫との間に生まれた長男も連れて、3人で関西まで中古船を見に行き、購入した。会社を設立し、夢の実現へ第一歩を踏み出したときにこう言われた。

 「僕は船長だから、社長は君がやってよ

 夫に頼まれ、2007年に設立した「ハウスボートクラブ」の社長になった村田さん。実は、学生時代にインターネットビジネスの分野で起業した経験があり、起業は2度目。さらに、OL時代に養った花の業界知識や人脈が、セレモニー事業ですぐに役立った。「人生に無駄なことは1つもないんだな、と思いますね。人脈もスキルも」

「過去の起業の経験、OLの経験、学生時代のカフェのバイト経験まで現在につながっています」
「過去の起業の経験、OLの経験、学生時代のカフェのバイト経験まで現在につながっています」