今や月100人を超える生徒を迎え、予約が取れない人気薬膳料理サロンを主宰する新開ミヤ子(しんかい・みやこ)さん(52歳)。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師として病院の理学療法室で働いた後、30歳で国際線のCAに転身する。そこで「やりたいことと向いていること」の違いを痛感。天職である薬膳料理研究家になり、韓国・全羅南道名誉広報大使へとステージを駆け上がった。新開さんは「誇りとやりがい」を求めながらキャリアを切り開いてきた。

(上)病院のリハビリ室を飛び出した鍼灸師、30歳でCAに ←今回はココ
(下)友人6人から始めた料理教室は、月100人超えに成長

 「薬膳料理」と聞くと「体には良いけれど、薬臭くておいしいとはいえない料理」を多くの人がイメージしていた12年前、新開ミヤ子さんは「おいしくて心と体が元気になる薬膳料理」を伝えたいとの思いで「薬膳料理教室 薬膳Salon」を始めた。今では予約が殺到する人気サロンに成長したが、新開さんのキャリアのスタートは病院の理学療法室だった。

料理研究家・新開ミヤ子さん。「キャリアのスタートは、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師だったんです」
料理研究家・新開ミヤ子さん。「キャリアのスタートは、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師だったんです」

「手に職があればその後の生きる力になる」という母の教え

 遡ること30年、新開さんは、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師として脳卒中や骨折後のリハビリテーションを行っていた。そもそも新開さんがこの道へ進んだのは母親が鍼灸(しんきゅう)院を開業していたから。「私がおなかにいるときに韓国から来日した母は、漢方アドバイザーとして薬局などで働きながら、苦労して勉強して日本の国家資格を取得しました。その経験から、『結婚などで仕事から離れることがあっても、手に職があればその後の生きる力になる。国家資格を取っておきなさい』と言われて育ちました。鍼灸の道を選ぶのはごく自然な流れだったのです」