経営が順調になるにつれ、深まる夫婦の亀裂

 再開後も店の経営は順調だった。河野さんは神戸ワインアカデミー(現ワインカレッジ)で関西のワインソムリエの重鎮、谷住 肇さんに師事し、ソムリエの資格を取った。ソムリエのいる中国料理レストランとしてメディアにも取り上げられ、ますます店の人気は高まる。

 「ソムリエバッジの効果は大きかったですね。ワイン愛好家の方も大勢いらっしゃいました。ただ、店の経営が順調になるにつれ、夫婦の間には少しずつ溝ができ始めました。夫は子どもが欲しいと言い始め、私は30代でまだまだ仕事がしたい、何より私が家庭に入って子育てをしたらお店はどうなるのと、言い争いをするようになっていたんです。

 そのうち夫が、勢いで『別れる』と言い出したので、『じゃあ、別れましょう』と、売り言葉に買い言葉で離婚を決意しました。夫は私が本気にすると思っていなかったようですが、私の決意は変わりません。離婚をきっかけにお店もやめることに決め、2012年4月末で閉店しました

目の前のことに全力でぶつかり、前進を続ける河野さん。この先に何があるのか、行ってみなければ分からない
目の前のことに全力でぶつかり、前進を続ける河野さん。この先に何があるのか、行ってみなければ分からない

 人気店に育てた店をあっさり手放し、河野さんは離婚を機に新天地に向かう。そこで待ち受けるanother STAGEを、河野さん本人も知る由もなかった。

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取材・文/小島潤子(日経ARIA編集部) 写真/武藤奈緒美