震災からわずか4カ月での営業再開

 お店を再開させなければ食べてはいけない。河野さんの行動は早かった。2月には店舗物件を探し始めるも、多くの建物が被災していて住む場所もない状況の中、店舗の物件そのものがほとんどない。なじみのある街、岡本で、以前から気になっていた物件がたまたま空いているのを見つけ、交渉して格安の敷金で契約。国民生活金融公庫(現在の日本政策金融公庫)から2000万円を借りて、4カ月後の5月13日には新しい「冠三宝」のオープンにこぎつけた。

生活を立て直すために、営業再開に向けた河野さんの行動は早かった。新しい冠三宝にて、マダム時代の河野さん
生活を立て直すために、営業再開に向けた河野さんの行動は早かった。新しい冠三宝にて、マダム時代の河野さん

 新店舗は以前の店の3倍ほどの広さがあって、岡本という好立地のおしゃれなビルということもあり、近隣の高級住宅街の住民でにぎわった。

 「みなさん、温かいものに飢えていたんだと思います。お金はあっても物がないから、レストランの存在を喜んでくれたのでしょうね。たくさんの方が利用してくださり、本当にありがたかったです」