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弟の死により家業を継承 夫の反対を押し切り代表就任

(上)骨髄バンクの前身となる活動をするも、弟は逝去。崩壊しかけた父の会社を夫に奪われそうになり、自分の力で立て直す


夫に父の会社を奪われかけ覚醒

 弟が闘病している間、父母は会社を人に任せ、血液を提供してくれた数千人の方へのお礼に奔走していた。父は体調を崩しがちになり、自身は経営から離れてオーナーとして関与することにした。

 何年もその状態を続けていたが、次第に会社は悪い方向へ傾き、派閥ができて内部崩壊が起きてしまった。50人近くまで増えていた社員は数人になり、社長も出ていってしまった。後を継ぐ予定だった弟はもういない。会社はこのまま売却するか、葭野さんが引き継ぐかの2択しか残されていなかった。この頃、血液を集めるのにかかった数千万円が負債として残っていた。1人当たり数万円かかった採血の費用は、葭野さんら家族が負担していたのだ。

 「血液を集めることができたのも、会社があって利益が出て、そこから報酬をもらえていたからこそ。会社を社員たちが支えてきてくれたからこそ。会社と残った社員を見捨てるようなことは、どうしてもできなかったんです

 葭野さんは41歳になり、小学生2人の母でありつつ、夫が経営する会社を支えていた。27歳で中小企業を経営する夫と結婚し、TOTOを退職。かねて描いていた夫の経営を支える妻となっていた。

 父の事業を継承しようと葭野さんが覚悟を決めたとき、夫は猛反対。夫は「君ではなく、僕に任せてくれるなら継いでもいい」と言った。「父の会社を奪おうというのか」と葭野さんは少なからずショックを受けた。そして夫のこの発言を聞いたとき、今まで対等な関係だと思っていたのは自分だけで、夫はそういう認識でなかったのだということにも気がついた。葭野さんはそんな夫との関係性を維持することより、自身が父の事業を継ぐことを選んだ。陰で支える黒子ではなく、自分が表に出る役割を担う新たなステージへの挑戦だった。

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取材・文/磯部麻衣(日経クロスウーマン ARIA) 写真/洞澤佐智子

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