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57歳で設立 次々と文学賞を受賞し注目の福岡の出版社

(下)出版不況でも「出版社の後発組だからこそ、全国に本を届けられている」


2022年に20周年を迎えた福岡の出版社「書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)」の代表を務める田島安江さん。本作りの道を目指すも、なかなか道は拓けず、結婚、出産を経て、夫の海外留学先のカナダに移住することになる。田島さんが出版社を立ち上げるまでのストーリーを追う下編。

(上)本好き少女が回り道しながら本作りを仕事にするまで
(下)57歳で設立 次々と文学賞を受賞し注目の福岡の出版社 ←今回はココ

どこでも生きていけると自信がついた海外生活

 「夫がオタワ大学に留学したんです。私は英語も全くできないのについていって、言葉が通じなくて大変でした。比較的簡易な英語で書かれた新聞の人生相談コーナーを読んだり、まだ日本に入ってきていなかったハーレクインの恋愛小説を読んだりして勉強しました。

 ハーレクインなら、ロマンスなので大体の流れはつかみやすく、1ドル出せば古本が3、4冊買えたんですよね。ほかには、子ども相手に話すのなら恥ずかしくないと思ってベビーシッターのアルバイトもしました。そうしているうちに1年くらいでやっと耳が英語に慣れてきて話せるようになったんです」

 苦労をしながらも自らの努力で状況を改善したこの経験が、「分からないことでもなんとかなるもんだ」という大きな自信につながった。

 「当時は海外に行く日本人は少なかったものですから、情報もなく不安でいっぱいでした。でも、言葉さえ通じれば、あとは日本と特に変わりはないと気づいたんです。外国の人でも感じのいい人もいれば、そうじゃない人もいる。もう私、どこでも暮らしていけるなって、手探り状態から開き直った感じでした

田島安江
田島安江
たじま やすえ/書肆侃侃房代表取締役。1945年大分県生まれ。地方公務員、フリー校正者、フリーライターを経て、1989年編集プロダクションを設立。2002年出版社「書肆侃侃房」を設立
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