多様な専門性、幅広い年代の人材が集う

 リリーメドテックの社員は、既に40人を超えた。毎年社員が増え、東大キャンパス内にあるオフィスは増床を重ねている。医療機器業界からの転職者の他に、バイオエンジニアリングやAI(人工知能)の若手研究者などが集い、年代も20代から70代と幅広い。

 医療機器は技術も市場も複雑なため、営業やマーケティングにも専門知識が必要になる。既存の医療機器業界を熟知したシニア層と、新しい研究シーズとして関心を持つ若手層から構成する、多様性に富んだチームであることも特徴だ。

 超音波技術を使った乳がん検診装置、リングエコーは製品化への最終フェーズに入り、多忙な日々が続いている。将来はAIによる画像診断支援や、超音波治療技術など、成長領域はさらに広がりそうだ。

 研究者やエンジニアとしての知見も持つ経営者としてリリーメドテックを率いる志保さんは、意外にも自分自身をこう評する。「根性と気合とサバイバル能力で生き抜いていく。たぶん自分はそんなタイプの経営者だと思いますね」

多様な専門家が集う組織を統率する。「『相手の専門領域には立ち入らない』のではなく、互いの専門領域をある程度理解しようとする姿勢が重要です」
多様な専門家が集う組織を統率する。「『相手の専門領域には立ち入らない』のではなく、互いの専門領域をある程度理解しようとする姿勢が重要です」

取材・文/秋山知子(日経ARIA編集部) 写真/花井智子