夫婦二人「お互いにやりたい仕事をやろうよ」

 「結婚後もずっと夫婦共働きだったので、老後の生活費についてはあまり心配していませんでした。私たちには子どもがいないので、稼ぎを優先するのではなく、お互いに『やりたい仕事をやりたいようにやろうよ』という価値観を夫婦で共有しています。ただ、蓄えも人生設計も不安定な20~30代のうちは、こんなふうに思えませんでした。40代を迎えるまでに、収入や仕事、人脈などの外的な満足感を存分に得たからこそ、今は、内的な自分の軸を大事にする生き方を選ぶことに抵抗がなくなったのかもしれません」

大好きな夫の顔を見たい、ごはんを一緒に食べたい

 会社を辞めることになった直接的な要因は婦人科で再検査を受けたことだったが、30代後半から「このままでいいのか」と会社員生活に違和感はあった。その背景にあったのが、気ぜわしい毎日で夫とすれ違うことへのストレスだ。

 「当時、彼も転職したばかりで、体力気力共にギリギリまで働いていました。彼が遅くに疲れて帰ってきても、仕事で余裕のない私は、彼の顔を見て今日がどんな一日だったのか、気遣ってあげることができなかった。大切な家族のための時間も確保できない生活に嫌気が差して、結婚生活を送る意味が見いだせなくなっていました」

  梅沢さんが夫婦の幸せのために大切にしたかったことは、「自分でごはんを作ることと家の中をきれいに保つこと」。体調不良を機に「人生の断捨離」を行ったことで、大切にしたいことを優先できる生活を手に入れた。新しい働き方にシフトした今、「彼の顔を毎日ちゃんと見ることができ、自分が作ったごはんを彼と一緒に食べる幸せ」をかみしめている。

「育てる対象がいたほうが精神的にも成長できるのでは? という夫の提案で猫のハッカくんを家族に迎えました。彼にかなり懐いています」
「育てる対象がいたほうが精神的にも成長できるのでは? という夫の提案で猫のハッカくんを家族に迎えました。彼にかなり懐いています」