2015年、保科さんが駐日オーストリア大使とそのご家族に小さなお茶会を催した際、ウィーン近郊にあるロースドルフ城に、破壊された大量の古伊万里が眠っていることを知り、研究者につなぐと、17世紀後半〜18世紀後期の貴重な陶磁片であることが判明。コレクションの一部を修復し、日本で展覧会を開催することを目指して、2019年1月、保科さんが代表となって、一般社団法人「古伊万里再生プロジェクト」を立ち上げた。活動の中心は女性だ。専門家だけでなく、ママ友やバリバリ仕事をしてきた友人たちも参加している。

左/ウィーン近郊のロースドルフ城で見つかった大量の割れた古伊万里 右/古伊万里再生プロジェクトのメンバー
左/ウィーン近郊のロースドルフ城で見つかった大量の割れた古伊万里 右/古伊万里再生プロジェクトのメンバー
左/ウィーン近郊のロースドルフ城で見つかった大量の割れた古伊万里 右/古伊万里再生プロジェクトのメンバー

 「皆さん有能な人ばかりで、それぞれの力を持ち寄るとすごい力になる。資金面などいくつもハードルはありますが、ヨーロッパの人々を魅了した美しい古伊万里を多くの人に見てもらえる機会がつくれたらどんなに素晴らしいだろう、と考えるだけでワクワクしています」

 専業主婦でいたときも、多面的な学びを忘れずに生きてきた保科さん。40代後半になった今、another STAGE(新たなステージ)に踏み出そうとしている。

取材・文/井上佐保子 写真/洞澤佐智子