保科さんの周囲には、もう一度働きたいと、アルバイトを探している50代のママ友もいるという。「働き続けることが容易ではなかったARIA世代の専業主婦たちは、今の時代、取り残された存在なのかもしれません。それに、いざ社会に出ようとしても、結婚や出産で仕事を辞めずに働き続けてきた同世代と自分を比べて身構えてしまい、『私なんて……』と自分の力を低く見積もってしまう。私もまさに、そうでした。

時給2500円の英語講師のアルバイトを始めた時も「こんな私にできるのか」と尻込みしました
時給2500円の英語講師のアルバイトを始めた時も「こんな私にできるのか」と尻込みしました

バリキャリの人と同じ土俵で戦わなくていい

 専業主婦期間が長かった私たちは、ずっと働き続けてきたバリバリのキャリアウーマンのようには働けないし、同じ土俵で戦う必要はないと思います。積み上げてきたものが違いますから。かといって、彼女たちには勝てないからと、この先も続く『自分の人生』を諦めてしまうのはもったいない。

 歩んできた道が違う分、それぞれに強みがありますよね。趣味だったり、家庭を回し、地域社会で活動してきたマルチスキルやコミュニケーション能力だったり。私たち専業主婦の能力は、まだ社会の中に組み込まれていないだけで、実はすごい。専業主婦ならではの強みを生かしてできることは必ずある、そう思うのです」

 保科さんの次なる夢は、「2020年にオーストリア古城に眠っていた古伊万里の展覧会を開く」こと。