日本の企業法務を、リーガルテックで変えようと決意

 大企業には法務部門があるため事前のチェックが働き、海外企業との取引においてリスクを理解せずに不利な契約を結んでしまうことはまずない。それに対し、中小企業は社内に法務担当の部門がなかったり、高額な費用がかかるのを避けようと、弁護士に依頼すべき英文契約書のチェックを省いたりするケースも目立つ。

 「何とか力になりたくて、事務所に怒られそうな安い料金を提示しても、それでも払えないという企業が多くて。問題が起きてしまった後、途方に暮れて法律事務所にやってくる中小企業の現状を変えなければ、との思いがどんどん強まっていきました」

 ブレークスルーの発端となったのが、海外のあるリーガルテック企業からの事務所への売り込みだった。

 「彼らのプレゼンを見たら、AIで法務文書をチェックできるという内容だったんです。最新のテクノロジーはここまで進化したのかと驚くと同時に、これを使えば契約書のチェックを低コストで行うサービスを中小企業に提供できるとひらめきました。そうしたリーガルテックサービスを日本で展開し、日本の企業法務を自分の手で変えたいとの思いが湧きあがって、起業を考えるようになりました」

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パートナー弁護士のキャリアを捨て挑んだ起業 奮闘の日々

取材・文/籏智優子 写真/稲垣純也