ヨウコ(48歳)
外資系日用品メーカー
長野県出身
既婚・夫と高校一年生の娘と三人暮らし

 娘は学区で一番の進学校に通っている。色々心配だったので、どちらかと言えば高校からは私立の女子校に行ってほしかった。しかし美結はそれを「無駄金じゃん?」と一蹴し、猛勉強の末その県立高校に受かった。できればテニス部とかバスケ部とか、そういう花形の部活に入ってほしかったのだが、何故か「サバイバル研究会」とやらに所属している。火を起こしたり食べられる草や茸を探したりしているらしい。

 「……大学に行きたくないの? それとも勉強が嫌なの?」

 「どっちでもないんだけど、将来の夢が定まっちゃって、できれば大学よりも専門に行きたい」

 「そう。何になりたいの?」

 「電飾作る人。ルミナリエみたいな。そういうの教えてくれる大学があるなら行きたいんだけど、情報なさすぎて」

 「……」

 しいて言えば電子工学科かデザイン科だろうか。グローバルに活躍している照明デザイナーの記事はどこかで読んだことがあるが、あまりにも予想外すぎて何も答えられず、無言で娘の顔を凝視していたら目を逸らされたのでその後はほぼ無言でピザを食した。

(C)PIXTA
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