AI時代にも、人間にしかできないことがある

―― 尾原さんはIFIビジネス・スクールの学長に就任するにあたって、自分には経営の本格的な勉強が足りないと感じ、58歳のときにアメリカでハーバード・ビジネス・スクールの経営者向けコースを受講。ARIA世代も、学ぶのに遅すぎるということは全くないんですよね。ちなみに今も何か新しいことを勉強されているんですか?

尾原 AIの勉強をしています。深層学習によってAIがどこまでのことをできるようになるのか、非常に興味があるんですよ。2045年にAIが人間の能力を超えるという予測がありますよね。それはある意味、ありうるかもしれませんが、私は消費に関わるような産業では、絶対に人間にしかできないことがあると思っています。

 ものを開発してそれをお客様に届けるというところまでに10のプロセスがあるとしたら、0から1、つまり無から有を発想するのは、絶対にAIには無理です。なぜなら過去の体験や事例がないからです。でも1から9までのプロセスは、AIなり、他のあらゆるテクノロジーによってどんどんスピードアップが可能になり、合理的に、安くものを作ることができるようになるでしょう。そして最後の9から10の部分。「こんなものをあなたのために作りました、こんなサービスもあります。いかがですか?」「あら、すごくいいわね」「そうでしょう? うれしいです!」このような、買った人がハッピーになって、商品やサービスの価値が増幅されるような伝え方や届け方は、やはり人でないとできない。そこがこれからの成熟社会の価値創造の鍵になる部分です。

 AI時代になっていく中でも私たちが学ぶべきこと、身に付けるべき能力はたくさんあると思いますよ。

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構成/谷口絵美(日経ARIA編集部) 写真/稲垣純也