ライフシフトに必要な「資産」とは

―― ARIA世代でキャリアプランというと、ホットワードは「ライフシフト」なんですね。人生の折り返し地点に立って、このまま会社で働いていても、ボードメンバーは同期の男性から選ばれていくし、現状が大きく変わることはたぶんない。あるいは、子育てとの両立も一段落して、自分が本当にやりたいことに挑戦してみたくなった。そういう人たちが会社を辞めたり、独立起業したり、学び直しのために留学したりしています。

尾原 私は結果的に会社を辞めることなく働き続けましたが、もし、このままでは人生の最後に「残念だった」と思うことになるだろうと感じたら、どこかで方向転換をするのはいいと思います。ただ、そのときにいくつか条件があると思うのは、一つは自分のパーパス、働く目的が、今働いている環境では本当に満たされないのかどうかということ。たとえば管理職になれなくても、パーパスが満たされている仕事であれば、お給料はもらえるし、プライベートを充実させるゆとりもあるとも考えられますよね。

 大企業の中で歯車の一つになって悲しいなんて言う人がいるけれど、周りには別の歯車がいっぱい回っているんですよ。それを全部吸収し、目線を上げて広く展望できたら、小さな会社で最初からいいポストに就くよりずっと勉強になります。そういうことを考えてみたことはあるでしょうか。

 それから、自分の生涯において、子どもや社会やコミュニティーに対して、一体どんなことを残していきたいのか。自分がライフシフトをすることによって、何が新しく生み出せるのか。それを実現するのに見合うだけの能力とガッツ、意志の力を持っているか。

 自ら選ぶ道ですから絶対に泣き言は言えません。それでも、自分にはやり通すだけの「資産」があるのかどうか。資産というのはお金だけではなく、能力や情熱、体力、意志の力も含めた話です。それがあるならば、私は拍手喝采で送り出したいと思いますよ。