子どもは寄り添っている小さな風船のようなもの

 アメリカの食事が合わず、先日息子さんが一時帰国したいと言ってきた時、大草さんは「1年間の約束だから、帰国はないよね」と許可しなかったんだとか。その分、子ども同士で助け合っていて「長女にこっそり泣きついて、レトルト食品か何かを送ってもらっているみたい(笑)。誰に頼めばいいか、よく分かっているんですよね」

 子どもたちはすごく面白い関係なんだそう。「長女は今もパパ(前夫)に会っていて、この家族の形は恥じることではないし、自分のマイナスではないというのも分かっている。家族みんなもものすごくフラット。夫も前の夫と面識があるし、末っ子の次女は『パパが2人もいていいな~』なんて言っていますよ」

 「あと、長女は小さい子の話をじっくり聞くのがとても得意で、真ん中も末っ子も悩んだり親と衝突したりした時は、長女に寄っていくんです。長女が話を聞いて、これはマズイと思ったことは私に話が伝わります。それで末っ子がすごく変わりました。長女の話の聞き方、伝え方がとても効果的だったんでしょうね」

 徐々に子どもたちが成長していく中で、親離れ・子離れについて考えたりするのでしょうか?

 「もともと親と子は別と考えているかな。子どもは生まれた時から、自分の風船に寄り添っている小さな風船。寄り添っているだけで、自分の中にいる風船ではないから。人生も、自分とはまったくの別物だと考えています」

 「親が洋服も学校も全部決めていったら、大事な時に決断できないですよね。大きくなって急に突き放しても無理。きちんとたくましく生き抜いていってもらいたいからこそ、構い過ぎず、自分で決断させることが必要だと思うんです」

取材・文/宇野安紀子 写真/小野さやか