人生100年時代を生き抜くARIA世代。シングルならではのお金の悩みや、病気、突然の退職など「クライシス」への備え方・乗り越え方を、FPの前野彩さんが伝授します。第3回は、シングルに必要な老後資金です。「老後資金は3000万円で十分」「いや7000万円必要」「実は1000万円台でいい」など、ささやかれる数字にばらつきがあるのでARIA世代は気になるところ。「ねんきん定期便」をチェックすべき理由や、シングルが気を付けるべき「節約の果ての国庫没収」リスクについても教えてくれました。

平均値、一般論で「私の老後資金」は分からない

 「老後にはこれだけのお金が必要」という情報があふれています。2017(平成29)年総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)」の「高齢単身無職世帯の家計収支」によれば、年金収入に対して足りない(自助努力で賄う)のは毎月4万円強です。

 65歳から年金を受け取るとして95歳まで生きるとしたら、4万円×12カ月×30年となり、単純計算では1440万円が不足します。

 それに、持ち家なのか、賃貸で家賃がかかるのかや、老後に思い描く理想の暮らしによっても違ってきます。生活レベルも年金受給額もみんな異なります。発表されている数字はあくまでも参考数字の一つのため、「私の場合」で考えないと、本当の金額は把握できません。「平均的なら大丈夫」というわけでもないのです。

「必要な老後資金の平均値や一般論に振り回されないようにしましょう。大切なのは『私の場合』はどうかを把握することです」(C)PIXTA
「必要な老後資金の平均値や一般論に振り回されないようにしましょう。大切なのは『私の場合』はどうかを把握することです」(C)PIXTA