国は将来も年金が続くように、定期的に制度の見直しを行っています。そのため、今の制度が変わる可能性は高いと思いますが、まずは今の制度で計算した場合に、足りない現状を把握。不安であれば、プラスアルファをしてもっと貯める方法を考えていくほうがいいでしょう。

 「年金支給は、将来75歳とかになるのでは?」という心配もありますが、変更に至るまでには非常に長い期間がかかるため、いきなり来年から変更、といったことはありません。例えば、厚生年金の受取開始年齢を60歳から65歳に変更するために、20年以上の期間をかけています。制度が変わることが分かったら、その時点で軌道修正をしていけばいいのです。

生きているうちにお金を使い切れないことも? 使う楽しさも満喫しよう

 「老後にいくらかかるか分からない」という不安が払しょくできないと、お金があっても不安は消えないようです。「5年で1000万円貯める」と金額目標を作って真面目に達成しても、今度はお金を使うことに罪の意識を持ってしまう人もいます。

 そういう方におすすめしたいのは、老後から現在に逆算するシミュレーションを作り、必要なお金があるかどうかを確認すること。貯めたお金を老後の期間で割ると、月々使える金額が分かります。その額に年金を足してみるのです。私の相談者さんには、その計算で現状を把握でき、安心したことで、海外旅行などお金を使う楽しみを味わえるようになった人がいます。

 また、将来、親の遺産を相続しているかもしれません。そのお金と自分の貯蓄を合わせると、結局、生きているうちに自分のお金が使い切れないということもあるかもしれません。将来の安心のために今を犠牲にするのではなく、今の楽しみと老後のお金の両方のバランスが必要ではないでしょうか。

 「私は老後のためと思って、今頑張ってお金を貯めています。ところで私の死後、このお金ってどうなるのでしょう」と相談されたことがあります。

親族が皆亡くなり、「誰も相続をする人がいない」ケースだと、私の遺産は一体どうなる? (C)PIXTA
親族が皆亡くなり、「誰も相続をする人がいない」ケースだと、私の遺産は一体どうなる? (C)PIXTA