その注意点とは相続です。相続権は法律上の配偶者にしか認められていません。「事実婚では遺産相続ができない」それが事実婚の最大のネックになってきます。
そこでわが家では万一の場合に備えて、私もパートナーも相手に遺産を遺すために、遺言書を書いています。自動的に相続することはできなくても、その対処法はあるのです。
「遺産目当ての結婚ではない」アピールにもなる?
人生100年時代を迎えるにあたり、今後はシニアの結婚、再婚も増えてくるでしょう。私は、事実婚を選ぶカップルは増えると予想しています。
法律婚を選ぶと、結婚している期間に関わらず、夫の死亡により、妻は遺産の半分を相続する権利があります。すると、再婚相手に子どもがいる場合、子ども側としては、突然やってきた新しい母親が遺産の半分を相続できるのは、納得できないかもしれません。サスペンスドラマやマンガでよくあるケースですね。
事実婚を選べば、法律上自動的に妻が相続する権利はないため、子どもとして、相続財産の面から親の再婚(事実婚)に反対しづらくなることも考えられます。
ちなみに配偶者として遺産の相続はできなくても、遺族年金の権利はあります。また、残された遺族年金だけでその後の生活費が足りない可能性があれば、事実婚の妻を受取人にできる保険会社で、生命保険に入るなどの方法もあります。
キャリアも行動力もある40代、50代の女性だからこそできる、自分にとってより幸せな選択。 法律婚、事実婚についてよく知った上で考えてみてはいかがでしょうか。
取材・文/阿部祐子