日々、時間に追われるARIA世代に必要なのは、心の楽園。写真1枚で心が飛んで行ける「至高の楽園」を、写真家・三好和義さんがお届けします。楽園をテーマに40年間写真を撮り続ける三好さんが選んだ11番目の楽園は、三好さんの原点ともいえるモルディブです。

―― 1985年のデビュー写真集『RAKUEN』で、「写真界の芥川賞」とも言われる木村伊兵衛写真賞を最年少で(当時)受賞した三好和義さん。その『RAKUEN』に収録した写真の約6割を占めているのが、インド洋に浮かぶモルディブ共和国の風景です。楽園をテーマに写真を撮り続ける三好さんにとって原点ともいえるモルディブですが、初めての滞在時は現在の「世界を代表するリゾート地」とは全く違う状況だったそうです。

宇宙から撮影した写真で、モルディブを知った

三好和義さん これまで、モルディブには20回以上足を運んでいます。初めて行ったのは今から35年前、20代半ばの頃。当時のモルディブは、まだ今のようにリゾート化されておらず、泊まった宿にクーラーはなく、シャワーもなんと塩水(笑)。今からは考えられないですよね。観光客のほとんどは、きれいな海が目当てのダイバーたちでした。

 そもそも、僕がモルディブを知ったきっかけは、ワシントンのNASA(アメリカ航空宇宙局)での取材です。ライブラリーで宇宙から撮った地球の写真を見たときに、「赤いエリア」と「水色のエリア」が目に飛び込んできました。赤は夕日に染まったサハラ砂漠、水色はモルディブ周辺の海域です。

モルディブは、基本的に1つの島に1つのリゾートがある。「世界でも、ここでしか見られない美しい海の色です」
モルディブは、基本的に1つの島に1つのリゾートがある。「世界でも、ここでしか見られない美しい海の色です」
「初めてモルディブに行ったときに気に入ったのがヤシの木。波打ち際に突き出すように伸びるヤシの木のは珍しい。モルディブならではの景観です」
「初めてモルディブに行ったときに気に入ったのがヤシの木。波打ち際に突き出すように伸びるヤシの木のは珍しい。モルディブならではの景観です」