日々、時間に追われるARIA世代に必要なのは、心の楽園。写真1枚で心が飛んで行ける「至高の楽園」を、写真家・三好和義さんがお届けします。楽園をテーマに40年間写真を撮り続ける三好さんが選んだ9つ目の楽園は、モロッコに広がる砂漠の楽園です。

砂漠にこつぜんと姿を現す世界遺産の村

―― モロッコ中部に位置し、サハラ砂漠観光の玄関口となる町・ワルザザート。この町から西に約30km車を走らせると、こつぜんと姿を現すのが世界遺産アイト・ベン・ハッドゥです。日干しれんがで造られた大小の「カスバ」と呼ばれるとりでや城郭が集まり、村全体が要塞化されています。今回ご紹介するのは、三好さんが砂漠に見つけたこの楽園。大人気の映画『アラビアのロレンス』や『グラディエーター』の撮影の舞台となった場所でもあります。

三好和義さん アイト・ベン・ハッドゥは、サハラ砂漠の玄関口として栄え、昔は1000人程度が暮らしていたそうです。小川のほとりにある丘の斜面を利用し、立体的につくられているからか、この村が初めて目に入ったときは、現実離れした美しさを感じました。「モロッコで一番美しい村」といわれているのも納得です。電気や水道がないため、現在は、ほとんどの人が川の対面にある新しい村へ移り住んでしまい、現在は5~6家族だけがここに住んでいると聞きました。

 ちなみに、アイト・ベン・ハッドゥは「ハッドゥさんの家族、息子」といった意味だとか。住んでいた人の名前がそのまま残っているなんて、珍しい世界遺産ですよね。

「特に、村が夕日に照らされている時間が美しかったです。高い城壁が巡らされていて、難攻不落の要塞のようでした。村の内部を観光できますよ」(三好さん)。最も古いもので17世紀頃の建造。意外にそれほど、歴史は古くない
「特に、村が夕日に照らされている時間が美しかったです。高い城壁が巡らされていて、難攻不落の要塞のようでした。村の内部を観光できますよ」(三好さん)。最も古いもので17世紀頃の建造。意外にそれほど、歴史は古くない
アイト・ベン・ハッドゥから車を走らせると、すぐ広大な砂漠が広がる
アイト・ベン・ハッドゥから車を走らせると、すぐ広大な砂漠が広がる