八重山諸島では、「命のつながり」を見ることができる

「こちらもぜひ、拡大して羽の美しさを堪能してください。西表島のマングローブの森を、カヌーを漕いで冒険気分で進む途中で出合いました」
「こちらもぜひ、拡大して羽の美しさを堪能してください。西表島のマングローブの森を、カヌーを漕いで冒険気分で進む途中で出合いました」

 八重山諸島では、命が海から陸に上がってきた過程を見ることができる気がするんです。陸に生きる魚がいるし、マングローブガニや手のひらほどもある大きなシジミもいます。命にあふれ、命がつながっていると感じます。

「マングローブの一種でタコ足のようなヤエヤマヒルギです。西表島で満潮と干潮の間に撮りました」。マングローブは海の生態系を守っている。陸から流れ込む泥や土、水を受け止めるフィルターのような役割があるという
「マングローブの一種でタコ足のようなヤエヤマヒルギです。西表島で満潮と干潮の間に撮りました」。マングローブは海の生態系を守っている。陸から流れ込む泥や土、水を受け止めるフィルターのような役割があるという

この世とは別の世界、神様が住む「ニライカナイ」

 「ニライカナイ」という言い伝えが沖縄にはあります。海のはるか向こうには、僕たちが住むこの世とは別の、神様が住む世界があると考えられているのです。神様は年に一度、僕たちの世界にやってきて、幸せや豊穣(ほうじょう)をもたらしてくれる。その「海の向こうの神様が住む世界」こそ、楽園と言えるのではないでしょうか。八重山諸島では、神様をお迎えする祭り・豊年祭も土地によってさまざまな趣向があり、祖先からの言い伝えに忠実に従って今でも盛大に行われています。これまでに何度も撮影に行きました。

波照間島の「ムシャ―マ」という祭りの様子。白いお面をかぶっているのは五穀豊穣の神「ミルク様」。豊年豊漁を祈願し、祖先供養をするお盆の伝統行事
波照間島の「ムシャ―マ」という祭りの様子。白いお面をかぶっているのは五穀豊穣の神「ミルク様」。豊年豊漁を祈願し、祖先供養をするお盆の伝統行事

 海に囲まれて暮らす沖縄の人々は、ずっと海を見つめて生きてきました。砂浜の上で美しい水平線に目を凝らしていると、海のかなたに存在するというニライカナイの姿が見えてくるような気がします。