奈良時代の「癒やし系美仏」もやってきた!

 右脚を左ひざの上に組んで座り、右手の中指を頬に当てて、考えごとをしているかのようなこのお像は、岡寺(奈良県・明日香村)のもの。見る角度によって、表情が変わるから不思議です。僕のお勧めは、向かって少しだけ斜め左から見たときのひときわ柔和なお顔。どの仏像よりも優しさを感じさせ、ありがたい気すらしてくる。何分でも見ていられるお顔です。キュッとしまったウエストも見逃さないでくださいね。

重要文化財 菩薩半跏像(ぼさつはんかぞう)
奈良時代・8世紀/銅造・鍍金/岡寺

刻み込まれたしわ、3つのコブ、浮き出たあばらに注目

 最後にご紹介するのは、岡寺を開いた義淵(ぎえん)というお坊さんの肖像として伝来している像です。顔に刻み込まれたしわや、浮き出たあばら骨が長年苦しい修行を重ねてきたんだろうなぁと思わせます。偉いお坊さんの印と言われる3つのコブも眉間のあたりにありました。岡寺の方でさえ「見たことがなかった」とおっしゃっていたほど、めったにご開帳されることがない貴重なお像のようです。

国宝 義淵僧正坐像(ぎえんそうじょうざぞう)
奈良時代・8世紀/木心乾漆造・彩色/岡寺 「奈良時代に流行した、漆に木屑などを混ぜたものを木の芯の上に盛りつけて造形する乾漆造という技法で作られています。一生懸命徳を積み『到達したい境地』のようなもの、修行の在り方を尊像で表したと言われています」(皿井さん)