指と指の間にあるのは水かき?

 高さ1m足らずの像にも関わらず圧倒的な存在感を放っていることに驚きましたが、美しく流れるような衣文にも心が奪われました。お寺を飛び出して、東京国立博物館に展示されている今なら、真横や斜めの至近距離からこの衣文を見ることができます。しっかり目に焼き付けてくださいね。

 もう一つ注目してほしいのが指と指の間です。仏さまには32の身体的な特徴「三十二相」があると言われていますが、その一つ 「手足指縵網相(しゅそくしまんもうそう)」という、鳥の水かきのようなものがあるんです。私たちの方に向けられた右手を見ると、その特徴が確認しやすいですよ。

国宝 釈迦如来坐像
平安時代・9世紀/木造・彩色/室生寺  指と指の間の水かきのようなものは、漏らすことなくすべての人々を救う、という意味があるとされています

静けさをたたえた十一面観音菩薩、躍動的な十二神将

 室生寺の仏像といえば、この十一面観音菩薩立像の優美さも際立っています。ふっくらとした頬、うっすらと目を開いた静かな表情は、すべてを包み込んでくれそうなおおらかさを感じさせます。

国宝 十一面観音菩薩立像 
平安時代・9~10世紀/木造・彩色/室生寺

 十一面観音とは対照的に、とても躍動的で、周囲を威嚇するかのような仏像が十二神将立像です。薬師如来という仏像の眷属(けんぞく。いわばガードマン)として、鎧を身にまとい、なかには武器を持っている像もあります。十二神将立像は「12」という数から「十二支」と結び付けられ、それぞれの頭には酉(とり)や羊、猿など、十二支を表した「印」がついています。室生寺の十二神将のうち、2体が東京国立博物館で展示中です。頭上に注目して、どの干支の仏像なのか当ててみてくださいね。

重要文化財 十二神将立像(上2点:酉神、下:巳神)
鎌倉時代・13世紀/木造・彩色/室生寺
薬師如来を守る十二神将のうち、酉と巳(へび)が東京に出展中。「天才仏師・運慶の流れをくむ慶派の作風です。巳の頭上にはとぐろを巻いた蛇が、酉の頭上には鳥が載り、その動物をなぞらえるかのようなしぐさや表情です。鎌倉時代以降は、このように十二支の特徴をとらえた十二神将が登場しました」(皿井さん)