日々、時間に追われるARIA世代に必要なのは、心の楽園。写真1枚で心が飛んで行ける「至高の楽園」を、写真家・三好和義さんがお届けします。楽園をテーマに40年間写真を撮り続ける三好さんが選んだ12番目、最後の楽園は意外にも東京都の島。そこはいったい…?

―― ARIAの創刊から1年続いたこの連載も、今回が最終回。これまで、モルディブ、ハワイ、セーシェル、スリランカ……と世界中の楽園を紹介してきましたが、今回は日本、しかも東京都で見つけた楽園です。

 東京都と言っても、「すぐそこ」ではなく、一昼夜ずっと船に揺られてやっと到着する父島、母島、南島などを含む小笠原諸島です。「東京都にこんな理想郷があったなんて」と三好さん。さて、そこにはどんな光景が広がっているのでしょうか。

イルカや海鳥が出迎えてくれる小笠原

三好和義さん 小笠原への旅は、東京の竹芝桟橋(JR浜松町駅徒歩10分)から始まります。船の中で過ごすこと、およそ24時間。1000キロの船旅を終え、やっと到着するのが小笠原諸島の一つ、父島です。「飛行機だったらすぐでしょ?」と思ったあなた。残念ながら、飛行機は飛んでいません。船で行くしかないのです。でも、わざわざ行く価値がある島なんですよ。

 小笠原に向かう「おがさわら丸」、通称「おが丸」で一晩過ごし、目が覚めたのは早朝。デッキに出てみると、海風の心地よさ、鮮やかな藍色に染まった海、すっきりとクリアーな空。すべてが都内とは一変していました。島に上陸する前から、イルカや海鳥、トビウオをそこかしこで見ることができ、まるで僕たちを出迎えてくれるかのようでした。

「カツオドリは島中で見かけました。翼を広げると全長1.4メートル以上。僕はこの写真のように、何度もカツオドリと目がバッチリ合いました(カメラ目線!)。横からは、長いくちばしが見えますよ」
「カツオドリは島中で見かけました。翼を広げると全長1.4メートル以上。僕はこの写真のように、何度もカツオドリと目がバッチリ合いました(カメラ目線!)。横からは、長いくちばしが見えますよ」
「乗っているボートがイルカの大群に囲まれる…なんていう幸せな時間を過ごせるのも、小笠原の醍醐味です。カメラを手に身を乗り出した僕のそばで、一斉にジャンプしてくれました」
「乗っているボートがイルカの大群に囲まれる…なんていう幸せな時間を過ごせるのも、小笠原の醍醐味です。カメラを手に身を乗り出した僕のそばで、一斉にジャンプしてくれました」
「ここまで透き通って美しい、エメラルド色に輝く海は見たことがありません」。父島のジニービーチで撮影
「ここまで透き通って美しい、エメラルド色に輝く海は見たことがありません」。父島のジニービーチで撮影