PRの3原則は「良い商品」「ストーリー」「伝える温度」

笹木 私が大事にしている「PRの3原則」とは、まず、「良い商品」であること。これは大前提。消費者に胸を張って薦められる商品でなくてはPRできません。2つ目は「心をとらえるストーリー」。どんなに良い商品でも、それだけではあまたある「良さそうな商品」のひとつでしかなく、印象に残りません。商品が出来上がるまでの苦労話や、今となっては笑える失敗談などがあると、印象が強くなり、PR対象を身近に感じてもらえます。3つ目は「伝える温度」。ストーリ―のある良い商品が見つかったら、それをいかに伝えるか。伝えたい相手に最もよく響くように、伝えるストーリーや商品特徴の表現をカスタマイズする。それが伝える温度です。この3原則のどれが欠けていても、PRはうまくいきません。

手探りでPR術を確立していく中で、笹木さんが見つけたPRの3原則。「この3原則のどれが欠けていても、PRはうまくいきません」
手探りでPR術を確立していく中で、笹木さんが見つけたPRの3原則。「この3原則のどれが欠けていても、PRはうまくいきません」

笹木 3原則をバーミキュラに当てはめてみると、まず「良い商品」であることは明らかでした。職人が一つひとつ手作りする鋳物ホーロー鍋は、密閉性が高く、水を使わなくても食材の水分だけで煮ものやカレーが作れて、おいしく仕上がります。しかも、その良さが分かりやすくて誰にでも伝わりやすい。

 「ストーリー」の要素も十分でした。1936年創業の名古屋の老舗鋳造メーカーの3代目である兄弟が、工業製品の下請けに限界を感じて、「町工場から世界最高の製品を作る」をコンセプトに2年間かけて作り上げた鍋。職人が一つひとつ、複雑な工程で丁寧に手作りしている。まさにメイドインジャパンの魅力です。

―― あとは、3つ目の原則、PRの本質である「伝える温度」に工夫の余地があると?