この連載では、キャリアを積み上げてきたARIA読者にも「あの人はどんなやり方で成果を出しているんだろう?」と気になりそうな方から、うまくいくコツや、失敗から学んだことを聞き出します。最初に登場するのは、ikunoPR代表の笹木郁乃さん。無名だった寝具「エアウィーヴ」をPRの力で人気製品に押し上げたノウハウは、ベストセラーを狙う出版社や起業したての人たちから引っ張りだこになっています。全3回のインタビュー、今回は、オリンピック選手へのアプローチや、メディアへ情報提供する際の工夫を伺いました。

(1)1億円の売り上げをたった5年で120億に ←今回はココ
(2)PRを成功させ続ける人のメディア露出戦略
(3)副業5カ月、フリーのPRプランナーへの道

―― 浅田真央さんらアスリートが愛用していることで知られる高反発マットレス「エアウィーヴ」や、無水調理ができる鋳物鍋「バーミキュラ」といえば、ARIA読者にも知る人が多い人気製品です。これらが売れるきっかけをPRの力で後押ししてきたのが笹木郁乃さん。現在は、企業のPRや、PRのノウハウを教えるセミナーでもご活躍ですが、そのPR術はどのように身に付けたのでしょう?

笹木郁乃さん(以下、敬称略) PRの手法を手探りで身に付けていったのは、2009年にエアウィーヴに転職してからです。それまではPRの経験はゼロ。新卒で自動車の部品メーカーのエンジニアとしてキャリアをスタートしたのですが、モノづくりに必要な発想力が乏しく、仕事が本当につらくて。3年間頑張りましたが、転職を決心しました。

ikunoPR代表の笹木郁乃さん。SNSでの口コミなどを利用したマーケティングやセルフプロデュース術など、企業や会社経営者から引っ張りだこだ
ikunoPR代表の笹木郁乃さん。SNSでの口コミなどを利用したマーケティングやセルフプロデュース術など、企業や会社経営者から引っ張りだこだ

―― 自動車部品のエンジニアから寝具のPR担当に転向した理由は?

笹木 最初は、私がいないと成り立たないと言ってもらえる小さな企業で、理系じゃない仕事で、会社を大きくするお手伝いをしたいと考えました。でも、営業経験も事務経験もなく、書類審査で落とされるばかり……。そこで、あまり興味を持てない電気機器メーカーも受けてみようと、日本高圧電気という会社の面接に臨んだのですが、その面接の場に現れたのがエアウィーヴの高岡本州社長(現・取締役会長兼社長)だったのです。