1968年、『ハレンチ学園』の登場

 風を待っていてもらちがあかねぇ、暖簾(のれん)のようにめくってしまえ! とでも思ったのでしょうか。いよいよスカートめくり流行要因の登場です。1969年、私が生まれる10年前。1968年から1972年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載されたお色気ギャグ漫画『ハレンチ学園』にスカートめくりが登場するやいなや、これが子どもたちの間で大流行。ここで再度念を押しておきましょう。スカートめくりは犯罪になりえます。にもかかわらず、パンチラというエロチシズムは一気に市民権を得たどころか、ペアレント・ガイダンスもないまま子どもの遊びにまで昇華してしまったのでした。

「ちなみに私はスカートめくりを見ていただけで、人生で一度もめくられたことがない」
「ちなみに私はスカートめくりを見ていただけで、人生で一度もめくられたことがない」

 1980年代半ばに隆盛期を迎えたスカートめくりは、その後「セクハラ」という言葉の流行とブルマ着用の普及を原因に廃れていきました。スカートめくりを知らない、デジタル・コミュニケーションに重きを置くZ世代の子どもたちは、一体どのような形でエロチシズムに出合うのでしょうか。大人が、親が知らないだけで、最近の子どもたちはモラルに即して私たち世代よりもずっとスムーズに性を意識し、エロチシズムに接しているのかもしれませんが。「スカートめくりの代替遊戯行為ってあるのかな?」。園児たちも引き上げ、静寂を取り戻した公園のベンチに一人座り、そんなことを考え続けていたのでした。

文・写真/クリス-ウェブ 佳子