モデルやコラムニストとして幅広く活動するクリス-ウェブ 佳子さん。センスあふれるファッションやインテリア、2人の娘たちとの日常をつづったインスタグラム(@tokyodame)は約13万人にフォローされています。おしゃれなライフスタイルで羨望を集める彼女が、包み隠さずここだけで語るARIA世代の本音。今回のテーマは「毛の話」です。

「毛高い女」に魅了される

 ハリウッドに進出したばかりの初々しいペネロペ・クルスが、ただただ美しく、そんな彼女を拝みたいがためだけに定期的に鑑賞してしまうのが2001年公開の映画『バニラ・スカイ』。1997年にスペインで製作された『オープン・ユア・アイズ』のリメイク権をトム・クルーズが苦労して手に入れ、製作にこぎつけたサスペンス満載の本作は、主演のトム・クルーズとヒロイン演じるペネロペ・クルスの演技を超えたラブストーリーとも言えます。なぜなら撮影当時、二人は実生活でも相思相愛、恋人同士だったから!

 当時27歳のペネロペ・クルス。艶のあるサラサラとした髪の毛。キリッとした凛々(りり)しい眉毛。クルンとカールした愛らしいまつ毛。映画『バニラ・スカイ』を見ると、彼女のコロコロと変わる表情も、振り向きざまのハッとさせられる美貌も、それら豊かな毛に縁取られているからこそなのかもしれないと思うほど、彼女の「毛高い美しさ」に魅了されます。

愛される「三大毛」と疎まれる「ムダ毛陣」

 髪の毛、眉毛、まつ毛。現代社会で一般的に美しいと称される、それら「三大毛」のお手入れに、私たちは疑うことなく精を出します。とかしたり、トリミングしたり、染めたり、美容液を塗ったりと、お金も時間も費やして、常に見られることを意識しながら大事に育てます。ところがです。それ以外の毛、つまり鼻毛やわき毛や指毛などの「ムダ毛陣」は見られないことが鉄則とされ、切ったり、そったり、時にはむしったりまでして、せっせと撤去。

 つまらない話ですが、中学校の体育の授業でいちばん思い出に残っているのは、大がかりな体育祭でも過酷なマラソン大会でもなく、クラスメートのスネ毛を抜いていたことです。野放しにすれば成人男性並みに生えそろう立派なスネ毛を持ったクラスメート。T字カミソリで処理しても、2〜3日もすればニョキニョキと生えてくる剪(せん)定したてのような彼女の短いスネ毛を、数人がかりで、それも体育の授業中に抜くことに私は没頭していました(誰かの体毛を抜くことが私の趣味というわけではありません)。

 無理やり毛を抜くことで起こる毛嚢(もうのう)炎や埋没毛、毛穴の拡大や色素沈着といったリスクがあるにもかかわらず、抜いたほうが処理の頻度が少なくてすむからと、彼女は自ら進んで両脚を差し出しました。バドミントンのスマッシュレシーブの打順が巡ってくるまでの間に、数人の手によって彼女の脚から次々と抜かれる短いスネ毛。そして、爪先を器用に使って抜かれたスネ毛は、体育館の床の上、真っすぐに貼られたカラーテープに、まるで植毛されたかのように美しく陳列されていくのでした。根元からスポンッと抜けたときには、見事なスマッシュレシーブが繰り出されたときよりも、熱心で低い歓声がこぼれるほどでした。