未練も後悔もない子どもだから描ける、人生の最終目標

 その日、二度目のどよめき。でも、一度目のとは全く違うどよめき。10歳にして人生につまずきがあることを知り、自分が今どこにいて、どこへ進んでいくかを決めなければいけない、しかし、まだ未練も後悔もない子どもだからこそ描ける人生の最終目標。それに対してぐうの音も出ない大人たち。その晩、ひとり悶々と考えてしまいました。一部の10歳の子どもたちにとって、将来の夢はもはや明確な人生の目標であり、「幸せになりたい」とか「お金持ちになりたい」とか、そんなざっくばらんとした夢は稚拙で無意味なのかもしれないと。そして、こうも思いました。「お母さんになりたい、お父さんになりたいと言う子どもが一人もいなかったなぁ」と。正直、あの場にいた大人としては、親としては、「お母さんになりたい」と発表する子どもが一人くらいいたら素敵だなぁと心のどこかで願っていましたから。

 そんな親の理想を娘たちに伝えなくて良かったと思うような出来事が最近ありました。