思わず保護者がどよめいた、10歳の少年のリアルな夢

 そんなカタカナ職業が躍る長女の学年で印象的だったのがトップバッターで発表した男の子。威勢良く、「僕は国民のために役立てるような国家公務員になります!」と表明し、体育館の保護者席には大きなどよめきが走りました。最近の子どもたちは10歳にしてこんなにリアルな将来の夢、夢というよりも人生の目標を定めるのかと、その場にいた多くの大人たちが、私含め圧倒されていました。突き進むべき道が自発的に見えているのか、追従的に提示されているのか、それはわかりません。ただ、「あぁ、これは将来の夢の発表会なんかでなく、将来の目標の宣誓式なんだ」と姿勢を正さずにはいられない気持ちになりました。

 野球選手や歌手、ファッションデザイナーのような、世間一般で花形とされる職業を夢見る子どもたちを微笑ましく思い、医者や弁護士といった目標を掲げ、親の期待を裏切らない子どもたちに感嘆しながら半分以上が発表を終えた頃。その学年でも飛び抜けて頭脳明晰な男の子に順番が巡ってきました。「この子はなんと言うだろう?」と期待高まるなか、その子が一言一言、噛みしめるように発表した台詞(せりふ)を私は生涯忘れません。

「将来 僕は 後悔のない大人になります」