最初はピンチの連続。そこを乗り越え事業拡大へ

長森 いえいえ! サービスを軌道に乗せるには時間がかかりました。一家の大黒柱となるべく起業したのに、むしろ家計を圧迫するという……。貯金を切り崩しつつ、MCの仕事もしばらく並行しながら収入を確保していました。子どもをベビーシッターさんに預ける余裕もないので、全面的に母に手伝ってもらっていましたね。

 他のリユース事業者さんもそうだと思うのですが、最初は商品集めにかなり苦労しました。まず売るものがないと始まらないので、出品をしてくれたお客様にプレゼント企画のキャンペーンを行うことも。とにかく「いかに良質な出品を集めるか?」は常に課題でした。

 例えば、シミがついた洋服などは再販が難しいのですが、最初の頃は売るものがなかったので、自宅に持ち帰ってきれいにシミ抜きしたり洗濯したり。クリーニング業者に出すと高くついてしまいますので……。サイトに載せる商品画像も創業して間もない頃は、自前の一眼レフで撮影してアップロードしていました。

―― それはかなりの手作業で大変だったでしょうね。

長森 売買の仕方やフローも手探りでした。初めはフリマアプリと同様の方式で、お客様自身で出品や取り引き、梱包・配送をしていただいていましたが、特に子育て中の忙しいママには負担が大きく、なかなか思うように広がらなかったのです。そこで、弊社にいらない子ども服を全部送ってもらって、こちらで仕分けや値付け、配送をするという方式も始めたところ、そちらのコースが圧倒的に伸びて。当初は2つの方式を両方走らせていましたが、1年ほどたった頃に後者のやり方で固めていくことにしました。ですので、ビジネス形態は厳密に言うと、「C to C」ではなく、「C to B to C」になるでしょうか。

 リユース事業は、出品されたものを仕分けし、値段をつけて撮影、売りに出すという一連の業務が発生します。手作業の部分も多いので、人手が必要になりますし、オペレーションを効率化するためのシステムも構築しなくてはなりません。例えば、商品情報を入力すると自動で値付けができる(買取価格が表示される)機能を取り入れるなど、常に小さな改良を行いながら、効率化に励んできました。

 そうしたことから、資金も思いのほか必要となり、さらに事業を拡大させるべく資金調達に踏み出しました。それが創業して3年がたった頃のことです。資金を得たことでさらなるスタッフの増強やサイトの改修などシステム面の強化も図ることができました。

―― 何がきっかけでサービスが軌道に乗ったのでしょうか?

サービスを始めた当初は、商品集めに苦労したという。「最初の頃は売るものがなかったので、シミがある商品でも買い取って、自宅に持ち帰ってきれいにシミ抜きや洗濯をしていました」
サービスを始めた当初は、商品集めに苦労したという。「最初の頃は売るものがなかったので、シミがある商品でも買い取って、自宅に持ち帰ってきれいにシミ抜きや洗濯をしていました」