新しい一歩を踏み出したARIA世代の起業家にお話を聞くこの連載。今回は、エグゼクティブ専門のビジネストレーニングを行うオフィスグレース代表取締役の荒井弥栄さん。日本航空(JAL)のCAを10年以上勤めた後、英語講師となり、41歳で起業しました。経営を学ぶために47歳で大学院に入学してMBAを取得、53歳のとき行動経済学を学ぶためハーバードビジネススクールに挑戦。荒井さんが学び続ける動機とは?

(上)義父の倒産で実家を失った元CA 母を養い41歳で起業
(下)53歳でハーバード挑戦「何歳になっても勉強はできる」 ←今回はココ

CAになるために大学を中退した

―― 法人化した後、47歳のときに大学院に入学してMBAを取得しました。英語から経営学へと広げていったのはどうしてですか?

荒井弥栄さん(以下、荒井) エグゼクティブ向けに英語のレッスンをしていると、どうしてもビジネスの話が多くなります。その中に知らないビジネス用語があり「これはまずいかな」と感じていました。このまま英語を教えるだけでは優位なビジネスが続けられないと思いました。

 それに、私は在学中にCAに合格したので大学を中退しています。大卒でなくても仕事には支障がありませんでしたが、学歴があればもっと幅が広がるのにな、と思うことは何度かありました。どうやったら経営学を学べるか、いろいろ探していたら、事前試験に合格すれば大卒でなくてもMBAを取得できるグロービス経営大学院を見つけました。「何歳になっても勉強はできる」と、47歳のとき入学しました。

Q 事業を継続していくために必要なこととは?
Q 事業を継続していくために必要なこととは?
「英語だけでは私のビジネスはもっと昔に終わっていたと思います。商品を改良するように、自分自身を学びでアップデートする必要がある」とオフィスグレース代表取締役の荒井弥栄さん

荒井 1本の柱を太くしていくスタイルもありますが、私のように競合が想定できるビジネスでは、ほかにも柱が必要です。経営を学び、今は英語とエグゼクティブトレーニング、中小企業コンサルタントという3つを組み合わせたサービスをしています。

 大学院で学んだことはクライアントに喜んでもらえたし、「学ぶ姿勢にモチベートされる」と言ってもらえました。同じように起業する後輩女性からも「励まされる」と言われ、私の学びが間接的にも誰かの役に立っているんだと感じました。

―― 仕事と学びをどう両立させていましたか?

荒井 事業も法人化したばかりで、著書も書いていたので本当に忙しい時期で1度、体調を崩して1年ほど休学しました。復学して51歳で卒業することができました。

 ただ私の中で、MBAはあくまで手段でした。