40歳でヤフーを退職し、オンラインゲームをしながら英会話を学ぶ「eスポーツ英会話」という新しい事業を立ち上げたゲシピ代表取締役の真鍋拓也さん。社内の新規事業に応募したことが起業のきっかけになったといいます。「会社の仕組みを使い倒した」という真鍋さんに、起業するまでの道のりと、会社を辞める前に実行していたことを聞きました。

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社内の起業塾に参加してアイデアを考えた

編集部(以下、略) 2018年に10年勤めたヤフーを退社し、ゲシピという会社を創業していますが、そもそも起業しようと考えたきっかけは何でしたか。

真鍋拓也(以下、真鍋) ヤフー在職中にグループ内でソフトバンクイノベンチャーという起業コンテストがあり、応募したのがきっかけです。採用されるとグループ会社に法人を作ってもらえることになっていました。応募に向けて、別の起業コンテストで出会ったソニー社員2人と、後に共同創業者になったヤフー社員と4人でチームをつくり、週末に集まってはアイデアを出し合ってビジネスモデルを考えていました。そのときはまだ、社内起業、新規事業をやりたいという気持ちのほうが強かったと思います。

―― 事業アイデアは真鍋さんが考えたのですか?

真鍋 そうです。会社員時代、僕は社内のいろいろな仕組みを使い倒していまして(笑)。応募した事業アイデアは、その前年、現ヤフーの代表取締役社長CEOである小澤隆生さんが社内で主宰する起業塾に参加していたときに思いついたものです。起業塾は週に1回、米国や中国で伸びている新サービスを調べて、自分が日本で展開するならどうするかを考えてディスカッションしていました。

 当時はeスポーツという言葉もあまり知られていなかったし、ゲーム動画も少なかった。それで、米国のサービスをヒントにゲームのテクニック動画に特化したアプリを考えました。

―― 社内で新規事業をするのと会社を辞めて自分で起業するのはだいぶ違いますよね。どこで切り替わったのですか?

真鍋 動画アプリのアイデアがファイナルプレゼンの直前まで進んだとき、胸に手を当てて考えてみたんです。コンテストで採択されると新会社を作ってもらえるけれど、創業者が持てる株は20%まで。もちろん会社に籍を残したままグループ会社の社長になれるのでリスクは全くないのですが。

 本当にそれでいいのか。この事業をやるのであれば、雇われ社長ではなく、自分が命を懸けて自分の会社としてやりたいという気持ちに気付いて。担当の方に連絡してコンテストを辞退しました。

「自分が本当にやりたいことは何か、考えてみたんですよね」と当時を振り返るゲシピ代表取締役の真鍋拓也さん
「自分が本当にやりたいことは何か、考えてみたんですよね」と当時を振り返るゲシピ代表取締役の真鍋拓也さん

―― そこから実際に会社を立ち上げるまで、どんなことをしましたか?