責任を持ちたいから、農業の会社を立ち上げ

東平 現在は、大規模設備を小規模設備に分割して販売することが禁止されたので、申請済みの発電所をつくって販売したら新規開発はいったん終わりです。ただ、10kw以上の太陽光発電の場合、20年間は電気を固定価格で買い取ってもらえることが決まっているため、メンテナンス作業をしっかりと続けていくことは必須です。メンテナンス作業はグループ会社の「e-karat(イーカラット)」が行っています。

 いま新たに取り組んでいるのが、食品の加工過程で出る食品残渣(ざんさ)をエネルギーに変える、バイオガス発電です。太陽光発電は昼間しか発電ができません。24時間発電できる電源を持つことにより、電気も売りやすくなるし、安定共有できます。それがFIT(固定価格買取制度)後のお客様の発電所の資産価値を上げる事にもなります。

 なぜバイオガス発電を選んだのかというと、グループ会社で農業をやっているから。そもそも農業の会社を作ったのは、農業をしながら、農地を太陽光発電にも活用するソーラーシェアリング事業をはじめたからです。ソーラーシェアリング事業の場合、土地が安く購入できる上に、農地のままなので税金が安くランニングコストが下がります。

 他の会社は、農家に営農代行をお願いすることが多い。けれど、農家の方が高齢になり農業ができなくなる可能性もあるし、数年ごとにきちんと農業をしているかという審査もあります。自分の会社できちんと責任を持ってやるしかない、というのが私の考え方なので、思い切って農業の会社「e-farm(イーファーム)」を作りました。

 いまは、太陽光発電の下でぶどうや榊(さかき)、シキミなどを栽培しています。社員を1人採用し、山梨に1年間住み込みで研修に行かせました。日照が少ない分をどのように対処すればいいのか、いまも試行錯誤しながら進めています。

 樹木系は「桃栗三年柿八年」ということわざがあるように、5年ほどは収穫することができないので、その間はずっと農業の収入がありません。いざ収穫が始まると葉物系よりも高く販売できますが、数年売り上げがないので、資金力がないとなかなかできない事業です。いまは「e-flat」が「e-farm」を助けている状況です。現在は全国4カ所でソーラーシェアリングを行っており、今後は単体で収益が出るように着々と進めています。

経営者向きの人は…粘りと根性、数字に強い、求心力

東平 このようなビジネスアイデアはすべて一人で考えています。もともと考えるのが好きです。たとえば、エステに行ったときに、家賃はいくらでエステティシャンは何人いて、客単価はこれくらいで、これを利益ベースに乗せるためには、最低10店舗必要だよね、などと、カチャカチャッと電卓を頭の中でたたいています(笑)。そういう日常生活なので、すぐに計算できるようになります。

 数字に弱い人は、経営には向いていないかもしれません。数字に強いというのは、数学ができるということではありません。円マークがついた時の計算がどれくらいできるのかということが大事で、私はそれが得意だったんです。

 年間の売り上げと利益について税理士さんと話をしたときに、税理士さんよりも私の方が数字に強かったこともあります。それは、日々数字を意識しているから。いまは会社が4つに増え、全部意識していると疲れてしまいますが、任せていいような人材がだいぶ育ったので、ラクになりました。

 経営者に向いているのは、まずは新しい商品を最後まで作りあげるという粘りと根性がある人。そして、経営の段階になると数字に強いかどうか。その後は人材の問題が大きいので、この社長について行きたいか行きたくないか、という求心力。それは、どれだけ社員のことを考えてくれているかが伝わるか、ということでもあります。

Q 経営者に向いているのは?
Q 経営者に向いているのは?
「数字に弱い人は、経営には向いていないかもしれません。数字に強いというのは、数学ができるということではありません。円マークがついた時の計算がどれくらいできるのかということが大事です」