失敗から学んだビジネスを成功させるノウハウ

東平 最初はデベロッパーから依頼を受け、建物のリフォームや外観・内装のデザインを手掛けていました。食べていけるくらいの規模になりましたが、安定的に仕事が入ってくるかどうか分からない状況でした。

 そこで、2010年5月に株式会社e-flatを設立。もともと実務経験があった高齢者施設を作るコンサル事業を始めました。けれども事業主がいて、地主から土地を借りて、行政から助成金を申請して、と関係者が多いビジネスはまとめるのに時間がかかるんです。1回出来上がればそれなりの収入にはなるのですが、完成するのに2年かかる。なかなか軌道に乗らないと思いながら、つなぎでリフォーム工事などを請け負っていました。

 そうこうしているうちに、東日本大震災が起きたんです。当時お台場で創業していて、近くの浦安市で液状化現象が起こり、建物が傾いているという話を聞きました。私は兵庫県出身なのですが、西日本では引き上げ技術という建物を動かす技術があり、その技術をつかえば建物の傾きを修正することができます。私はその工事をするルートを知っていました。そこで、毎日のように浦安に行き、傾き修正工事をポスティングして営業。結果として、新規ビジネスに取り組んだ初めての経験となりました。

 実は、引き上げ技術があることは知っていたものの、やってみようと思うまでに少し時間がかかってしまったんです。ビジネスは、結局上位の3~4社がシェアの9割をとり、残りの1割を何百社という会社で争う構造が多い。私が傾き修正工事で浦安に入ったときも、すでに上位4社がシェアの9割を獲得した後でした。参入するのが遅かったことにより、苦労したわりに件数も少なく、利益もあまり出なかった。つまり、チャンスを逃したんです。

 その失敗から、ビジネスで重要なことを学ぶことができました。1つ目は「スピード」。乗り出すときは一番に、一気に進む。2つ目は、「社内でスタッフや技術などを抱え込み、積み重ねる」。当時、会社が小さかったので、外部の営業委託という形をとったのですがうまくいきませんでした。自社でやらないと、ノウハウもたまらないし、サービスもきちんとできません。最後は、「実績を作る」。もし今、当時に戻れるなら、無料でもいいので傾き修正工事をやらせてもらい、まずは実績を作ります。実績がないということが、どれだけ足かせになるかということを経験しました。

 この3つのポイントをクリアできれば、どんなビジネスもほぼ成功すると思っています。その前に、商品・サービスづくりが大切ですけどね。

Q ビジネスで重要なことは?
Q ビジネスで重要なことは?
「まずはスピード。乗り出すときは一番に、一気に進む。2つ目は社内でスタッフや技術などを抱え込み、積み重ねること。あとは、実績を作ることも大切です」

時流に乗り、低圧の太陽光発電施設のパイオニアに

東平 ちょうど同じタイミングで、原発事故の影響から再生可能エネルギーが注目され始め、2012年7月から、それまでの余剰電力の買い取り方式が、全量買い取りになることが決定。発電した電力を全部売れるようになれば、利回り商品になると思いました。

 その頃は、メガソーラーといって、山1つ買い取るなど、ものすごく大きい土地を買って太陽光発電所を建設しようとしている時代。私は最初から身の丈に合わせようと思いました。大きいものを作ったり売ったりするには資金力も足りないので、分割して売ることを思い付きました。メガソーラーを土地付きでコンパクトに分割にして一般の人の手に届く価格帯で販売すれば、いろいろな問題がクリアできる。そう思ってはじめたのが、「SUN FLOWER PROJECT」です。

 ます最初に、メガソーラーを分譲化することにより、お客様の手に届く価格帯で資産運用の商品を販売できるという、ビジネスモデルを作りました。そして、自社で土地を買って作って売る方式にして、販売実績を作りました。次に、技術を磨く為に、メンテナンスの部門を作り、不具合を修正することで、より良い商品を作ることができるようになりました。

 正直なところ、当時の規模ではメンテナンスをやると赤字。でも、必要なものとしてやり続けたことが今につながっていると思います。不思議なことに、お客様は不具合があったことよりも、その後どう対処してくれたかということの方が大事なんです。「e-flatさんはそこまでやってくれる会社なんだ」と、むしろマイナスからプラスになり、信用が上がります。今では900区画の管理をするまでになりました。評判がいいので、リピート率が高くなったり、紹介いただいたりして、いま当社には外回りの営業マンは1人もいませんが順調に伸びています。