安定も、確かな地位もあるのに、新しい一歩を踏み出したARIA世代の起業家にお話を聞くこの連載。不動産会社の建設部門の役員として働いていた東平さんは、45歳のときに起業。太陽光発電に関する事業構想をビジネス化して、急成長を遂げました。起業を選んだ理由や経営者に向いている人について話を聞きます。

 東平豊三(とうひら ゆたみ)さんは、リフォーム会社、設計事務所、建設会社など、建築畑でキャリアを積み上げてきた後、不動産会社の建築部門の取締役に就任。けれど、45歳で退職し、2008年11月にユタミデザイン一級建築事務所を設立。その後、2010年5月に現在の株式会社e-flat(イーフラット)を立ち上げました。主軸となる太陽光発電事業を中心に、保守メンテナンス管理事業、農業、人材派遣業と、顧客の求めるサービスを次々と生み出し、1つ1つ形にして届け続けています。

女性は転職しづらいという現実を目の当たりに

―― “男社会”のイメージが強い建築業界で順調にキャリアを積み重ねてきた東平さんが、不動産会社の取締役を辞めて起業しようと思ったのはなぜですか。

東平豊三さん(以下、敬称略) 不動産会社の建設部門の立ち上げを任され、成績もトップ。最終的には取締役をしていたのですが、社長と経営の方向性をめぐって意見が対立し、4年ほど勤めて退職しました。自分自身が社長になったいま、当時を思い返してみると、私にも対立の原因があったのかなと(笑)。自分は勤めている側の人間として、問題提起や不満を話していたのですが、経営者側の立場から考えると、色々と指摘されることが苦痛だったのかもしれません。

 その頃、母子家庭のわが家では子どもが私立中高一貫校に入ったばかりだったので、教育費などお金も必要でした。転職エージェントにあたりましたが、建設系企業は管理職の女性を求めていないことが分かったのです。生え抜きの女性管理職ならまだしも、外から女性を大抜擢というのはなかなか厳しい世界。一スタッフとして建設業界で働くことはできるけれど、それでは年収がかなり下がってしまうし、自分のキャリアがもったいないと思いました。女性は転職しづらいという現実を目の当たりにし、それなら自分で会社をやってみようかなと思い、個人事業主でスタートしました。

e-flat代表取締役CEOの東平豊三(とうひら ゆたみ)さん。「転職を考えたのですが、建設系企業は外から女性を大抜擢というのは、なかなか厳しい世界だと知りました」