安定も、確かな収入もあるのに新しい一歩を踏み出したARIA世代の起業家にお話を聞くこの連載。大手企業で女性向けクチコミサイトの起ち上げから関わってきた近藤恵子さん。「自分の限界を試してみたい」と起業したものの、最初の事業は失敗。その経験を乗り越え、新しくスタートした事業が軌道に乗るまでの道のりを話してもらいました。

(上)保育園11カ所に落選 時短でも思い切り仕事がしたい
(下)女性も男性も フリーな働き方を起業で応援していきたい ←今回はココ

スキルを持った人が働きやすい環境に

―― 最初の失敗からリスタートして現在は、企業のプロジェクトを受託して進める「コンサルティング事業」やIT人材不足を解決する「ITソリューション事業」、企業にプロフェッショナルな人材を紹介する「HRソリーション事業」を3つの柱として展開されていますね。具体的にはどのように新規事業を推進していきましたか?

近藤恵子さん(以下、敬称略) 自分が企業で働いているとき、うまく組織が作れないというのが悩みでした。だから企業が持つ同じ悩みを解決できるのではないかと思って営業を始めました。

 最初はある大手企業に電話営業をかけました。10年以上前にお仕事をさせていただいた企業でしたが、多くのWebサービスを手掛けているので常に優秀な人材が不足して困っていることはなんとなく分かっていました。そこで最初のプロジェクトを任せてもらえることになった。まだ実績のないベンチャーでしたが、そのときチャンスをもらえたことから仕事が広がっていきました。

企業にいるときに自分が抱えていた悩みから新しい事業の一歩を進めたCOCOEの代表取締役、近藤恵子さん
企業にいるときに自分が抱えていた悩みから新しい事業の一歩を進めたCOCOEの代表取締役、近藤恵子さん

―― IT系は競合も多いですが、COCOE(ココエ)の強みはどんなことでしょうか?

近藤 デジタルマーケティングを中心として、プロジェクトを丸ごと受けて、事業戦略を立て、チーム作りから運営までを担当できること。それと同時に企業が求めるプロフェッショナルな人材を提供できるのが強みです。これまでの仕事経験の中で、結婚や出産、育児、介護、留学、独立などを理由に会社をやめた優秀な人材が多くいることは分かっていました。

 だから正社員やフリーランス、副業、リモートワークなど様々な選択肢を用意して、スキルを持った人が働きやすいようにしています。スタッフにはどういうライフスタイルで働きたいかを聞いて、それに合わせた仕事を紹介します。

 フリーで働く優秀な人材の中には法人化して一人社長として働いている人もいますが、自分でお客さんを開拓するのは大変だし、営業に時間を使うのはもったいない。私は営業が得意なので、働く人とWin-Winでやっていければと思っています。そうやって進めていくうちに、スキルを持った人材がどんどん増えていきました。

―― 働く人は女性に特化しているのですか?

近藤 最初は自分が苦労したこともあってワーキングマザー支援を考えていましたが、今は女性に限っていません。