安定も、確かな収入もあるのに新しい一歩を踏み出したARIA世代の起業家にお話を聞くこの連載。大手企業で女性向けクチコミサイトの起ち上げから関わってきた近藤恵子さん。未就学児2人を抱え働く時間が制限される中、あえて「自分の限界を試してみたい」と起業。失敗を乗り越えて事業が軌道に乗るまでの道のりを話してもらいました。

(上)保育園11カ所に落選 時短でも思い切り仕事がしたい ←今回はココ
(下)女性も男性も フリーな働き方を起業で応援していきたい

保育園落選で通勤に往復3時間近く

 大手企業をクライアントとしてITやWebのスキルを持つ人材を活用したBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業とコンサルティングサービス事業を展開するCOCOE(ココエ)の代表取締役、近藤恵子さん。起業5年目のスタートアップですが、業界の人材不足を背景に業績を伸ばしています。

―― もともとベネッセコーポレーションで妊娠・出産・子育てのクチコミサイト「ウイメンズパーク」を立ち上げ期から手がけてきた近藤さんが、40代で会社を辞めて起業しようと思ったきっかけは何だったのですか?

近藤恵子さん(以下、敬称略) 最初から「起業したい」と思ったというより、大きな企業に長くいて、「自分が活躍できていないな」と感じたのがきっかけです。誰かに何かを言われたわけでもないんですけど、子どもができてからは全力投球できてないというジレンマがありました。

―― お子さんはまだ小さかったのですか?

近藤 起業当時は3歳と5歳でした。38歳で第一子を出産してからは、保育園の送り迎えのために通勤が往復3時間近くかかっていたんです。育休明けで復帰しようと思って保育園に申し込んだら11カ所に落とされてしまって。やっと見つけたのが霞が関の認証保育所。朝も帰りも通勤電車を途中下車して送り迎えしていました。子どもに熱が出れば、またそこまで行ってピックアップするような状態で。とにかく時間内で終わって、周りに迷惑をかけないように、言われたことをきっちりするようになっていったんですよね。

「子育てで時間が制限され、仕事に全力投球できない自分にジレンマを感じていました」と話すCOCOE代表取締役の近藤恵子さん
「子育てで時間が制限され、仕事に全力投球できない自分にジレンマを感じていました」と話すCOCOE代表取締役の近藤恵子さん