自己資金を投じた最初の事業に失敗

近藤 いざやってみるとマネタイズができないんです。初回無料にすると、初回無料の人だけ集まって有料会員が獲得できない。試行錯誤しているうちに自己資金をどんどん使い果たしていきました。起業して最初の1年は夜も眠れませんでしたね。

―― そこからどうやって立ち直ったんですか?

近藤 会社も辞めているし、子どもも小さいし、生活もある。1年たつ前に、このサービスを閉じようと決断をしました。そのときは少しぼう然としましたね。大きな失敗を経験して、この先どうしようかと思い悩んだとき、今まで自分がやってきたことを振り返ってみたんです。会社員時代はWeb事業で数百を超える企画やプロジェクトに関わってきました。さまざまな業種の課題解決をサポートしてきた、その経験が強みなると思うようになりました。自分ができることから始めようと、今のビジネスモデルにたどりついたんです。

市場と向き合うことの大切さを痛感した

―― 失敗から学んだのはどんなことですか?

近藤 新しいことには絶対に失敗があります。当たり前ですが、机上で考えたことは上手くいかない。事業計画をすごくしっかり立てて考えていくと、意外とそれに縛られてしまう。逆説的ですけど、ビジネススクールで習ったことを忠実に計画通りにやろうとするとうまくいかないんです。実際はもっと、ニーズに合わせ、状況に合わせることが必要ですよね。市場とダイレクトに向き合って動いていくことの大切さをそのとき痛感しました。

Q起業で大切なことは何だと思いますか?<br>「起業はCEOがマーケットと直接向き合える世界です。最初の事業は、市場と向きあうことが足りなかったと気が付きました」
Q起業で大切なことは何だと思いますか?
「起業はCEOがマーケットと直接向き合える世界です。最初の事業は、市場と向きあうことが足りなかったと気が付きました」

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取材・文/竹下順子(日経ARIA編集部) 写真/洞澤佐智子

近藤恵子
COCOE代表取締役社長
こんどう・けいこ/1972年生まれ。東京農工大学応用生物学科卒。新卒で食品会社に入社し、コンビニの商品開発を担当。ヘルスケア専門紙の記者を経て、2007年ベネッセコーポレーションに入社、妊娠・出産・育児をする女性のためサイト「ウィメンズパーク」に立ち上げ期から携わる。BBT大学(ビジネス・ブレークスルー)が運営する起業家専門スクールを経て2016年、COCOE(ココエ)を設立。