新しい一歩を踏み出したARIA世代の起業家にお話を聞くこの連載。夜空に人工流れ星を生み出すというプロジェクトに挑み、30代でベンチャー企業ALEを立ち上げた岡島礼奈さん。「打ち上げ花火」のように好きなときに好きな場所で流れ星を見せるという、成功すれば世界初となる事業で立ち上げ期に約7億円の資金を調達。たった一人で始めた研究をどのように事業化していったのか。その道のりを聞きました。

(上)「流れ星を作る」誰もやったことがない新事業への挑戦
(下)たった一人で始めた流れ星事業 強い思いが突破口を作る ←今回はココ

海外からの問い合わせが増えた

―― 宇宙開発の民営化が進み、宇宙ビジネスが加速していますね。

岡島礼奈さん(以下、敬称略) そうですね。ここ2、3年ぐらい注目が集まっている感覚はあります。実際、海外から「流れ星をプロモーションに使いたい」といった問い合わせが増えています。

―― 「人工流れ星」で事業を起こそうと考えたとき、どのように準備を進めていったのですか?

岡島 2つ目に立ち上げた新興国調査企業で仕事をする傍ら、人工流れ星が実現可能か、一人でほそぼそと論文を集めたり、大学の先生などに相談に行ったりしていました。

 夜空で流れ星を輝かせるためには、宇宙空間で明るく光る粒が必要です。人工衛星からそれを放出する装置の方は理論的に可能だと思いましたが、金属の粒を流れ星のような明るさに光らせることが可能なのかが分からなかった。研究を重ねているとき、新聞に紹介された記事を、日本大学理工学部で准教授をなさっている阿部新助先生が読んで、「僕なら力になれるかもしれません」とメールをくださり、協力していただけることになったんです。

「最初は仕事の傍ら一人ほそぼそと準備を始めました」と語るALE代表取締役社長/CEOの岡島礼奈さん
「最初は仕事の傍ら一人ほそぼそと準備を始めました」と語るALE代表取締役社長/CEOの岡島礼奈さん

―― そうやって協力者が集まってきたんですね。人を巻き込む力がすごいですね。

岡島 みんなプロジェクトが面白そうだと思うから協力してくれるんですよね。「もしかしたらできるかも……」って思ってもらえる。流れ星というだけでなく、それが科学に貢献できるというところが共感してもらえたと思っています。

 新興国調査企業は3年ぐらいで辞めて、派遣や業務委託で仕事をしながら、収入の半分ぐらいを研究費に当てていました。

―― どの段階で会社を作ったのですか?