小木曽 準備期間はほとんどありませんでしたが、インパクト投資を手掛けたいという気持ちは長い間持っていたので、そういう意味では自然な流れで、迷いはありませんでした。

 ただ、ファンドをビジネスとして成り立たせるのは未体験でしたので、ビジネスの世界で成功しているパートナーと一緒にできたのは大きかったですね。投資家の谷家さん、国連で仕事をしてきたブラッドリー・ブセットさんと3人で始めた会社ですが、三者三様の個性や得意分野があって、発想も違います。バックグラウンドの違う3人が集まったことが結果的には良かったと思います。

企業とジェンダーギャップを話し合う

―― SDGインパクトジャパンではベンチャー投資だけでなく、22年4月に日本とアジアの上場株を対象にしたファンドを立ち上げましたね。これはどういうファンドですか。

小木曽 SDGsにより厳しい欧州の新規則に対応したファンドで、投資先企業のESG課題を特定し、KPI(重要業績評価指標)を設定して、エンゲージメント(対話)によって改善を図ってもらいます。企業とファンドが両者で目標達成を追っていく。それによって社会的インパクト(影響力)を創出するのが狙いです。

 私はジェンダーギャップ指標の改善などを担当し、投資家の立場で日本の数社と話しています。上場株といっても中堅企業が対象なので、まだダイバーシティ専門の部署もなく、問題意識は持っているけれど、どうしたらいいか分かっていない状態です。

―― 企業がジェンダーギャップを解消するには何が必要だと思いますか?