「今、転職や起業を考えている」というARIA世代は、38%(編集部調べ※)に上ります。安定も、それなりの地位もあるのに新しい一歩を踏み出す人は、何が決め手で起業の道を選んだのか――。ARIA世代の起業家が包み隠さず語ります。土屋清美さんは、金融とITを融合させたフィンテックの分野で起業、個別企業の株価に連動する世界初のポイント運用サービスを提供します。投資が一般の人に広がらない日本で、何を目指しているのでしょうか。

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土屋清美 フィンテック分野で一躍注目の起業家

創業から10年間も無借金経営だった

―― 2008年のリーマン・ショックに直面するも、起業した会社Sound-F(現Sound-FinTech)は存続の危機を乗り越えます。会社はそこからどんな風に成長したのでしょうか。

土屋清美さん(以下、敬称略) Sound-Fは、金融ベンチャーのクォンツ・リサーチの同僚3人で立ち上げた会社です。私は銀行や証券会社への営業を、もう一人の不動産投資信託(REIT)の専門家は不動産部門の営業や不動産管理関連の開発を、金融工学の専門家であるもう一人は顧客のニーズに合わせたソリューションの開発やカスタマイズを行い、3人がそれぞれの専門性を生かして事業を進めました。

 リーマン・ショックの危機を乗り切れた理由の一つは、それまでの顧客とのつながりを大事にして、営業の種まきを続けてきたことですが、もう一つの大きな理由が無借金経営だったことです。

 これは、私たちが勝負しているフィンテックという分野が金融と情報技術を組み合わせるビジネスなので、大きな設備投資を必要としないという性質上可能なことではあります。とはいえ、無借金だからこそ、失敗してもゼロにはなるけれどマイナスにはならないと、リーマン・ショックのときにもある程度開き直ることができました。起業する場合、ある程度の規模になれば借金をしても大丈夫ですが、走り始めのまだ小規模な時に借金するのはリスクが高いと考えています。ですから、自分で起業してから、約10年間は借り入れをしませんでした。事業形態にもよりますが、これから起業を考えている人は、しばらくは無借金経営することをお勧めします。

STOCK POINT創業者の土屋清美さん。「起業リスクを低く抑えるため、起業から約10年間、無借金経営を続けました」
STOCK POINT創業者の土屋清美さん。「起業リスクを低く抑えるため、起業から約10年間、無借金経営を続けました」

―― 「自分のやりたいことをやるため」の起業でしたが、10年後に、さらにもう1社起業したのはなぜですか?